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22完璧な聖女~ジャネットside③
しおりを挟む家庭教師を勝手に解雇にしてイライラする中。
更に深いな噂が耳に入って来た。
「ジャネット様、この度はおめでとうございます」
「本当におめでたいですわね」
同年代の令嬢が私に声をかけ口々にお祝いの言葉を言う。
私が正式に聖女として認められ、王太子殿下の婚約者に認められた事だろう。
祝う程の事じゃない。
だってこれは運命だもの。
当然の事なのに、こんなにはしゃぐなんて幼いわね。
「まぁ、最初から解ってましたもの」
「まぁ、最初から」
「そうでしたの…では運命の赤い糸で最初から結ばれていたんですね」
「赤い糸だなんて…」
悪い気はしない。
王太子妃、未来の女王になる事を。
「サーシャ様の婚約は運命だったのですね!」
「あの氷の竜騎士様に見初められるのは決まっていたなんて!」
は?
何を言っているの?
サーシャの婚約がなんですって?
「あの真面目で、クールな竜騎士様は社交界でも有名で」
「女性には笑顔を向けないと言われているお方。そのお方が直々に求婚し妻に望んだとか!」
「モニーク伯爵夫人はサーシャ様をお気に召しているとか…」
何を言っているの?
モニーク伯爵家と言えば辺境貴族の中でも一番も名門だった。
北の領地を牛耳る一族で王太子殿下の一番の側近。
私も紹介をされたけど、他の令息と違って私に笑顔も向けない。
あくまで護衛騎士として接するだけ。
ストイックでとても素敵な殿方で私も憧れていた人だった。
私が正式な聖女になれば彼が聖騎士に選ばれるのは確実だったはず。
王太子殿下とは幼馴染で幼少期から兄弟のように過ごしていると聞く。
私は王太子殿下よりも彼に惹かれていた。
なのに何故?
「サーシャの婚約者にフレデリック様が」
どうして?
ありえないわ。
だってサーシャよ?
伯爵家の子息であっても彼ならば血筋しかないあの子よりも私の方が…
そうだわ。
この婚約は、あの方が望んだんじゃない。
お父様が無理矢理結びつけたのだわ。
侯爵と言う立場上、相手方は断れず、社交界でのサーシャの噂に同情したのね。
「ジャネット様?どうなさいました」
「いえ。皆さん。妹の婚約ですがまだ話だけですわ」
「え?」
「この度の婚約は恐らく進まないかと…相手は竜騎士の筆頭の家柄ですわ、王太子殿下の腹心の部下の妻には妹はふさわしくありませんもの。その噂もデマでしょう」
そうよ。
どうせその婚約がなくなるはず。
サーシャと顔合わせをした時点で断るはず。
だからちゃんと誤解を解いておかないと後々困るのだから。
けれどその数日後。
婚約は正式なものとなることを聞かされたのだった。
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