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16お姉様の怒り
しおりを挟む乱暴に扉が開かれ普段完璧なまでに手入れをされている髪はとても乱れていた。
「お母様!」
「何ですこの方は。大きな声を出してはしたない」
「なっ…」
「ジャネット様になんて無礼な」
後ろにいるのはエルガー先生の前に私の家庭教師をしてくれたいた。
「ヒステリー先生」
「ヒテックです!」
何故お姉様と一緒にいるのだろうか。
「そこの貴方、窓を開けてくださる?何ですこの異臭は…」
「は?」
「肥溜めのような匂いだわ。私不潔な匂いはどうも耐えられませんの…まぁある程度は我慢できますがこれは腐った匂いと肥溜めの匂いが混ざってますわ」
「なっ…私の香水が臭いですって?」
以前から匂いがきついとは思っていた。
宮廷貴族は匂いのキツイ香水を好むのだけど、私も苦手だ。
どっちかというとお花の香りとか石鹸の香りだ。
「やっぱりキツイ…お姉様、お風呂入ってないんですか」
「サーシャ!」
「聖女様って湯殿に入れないのかしら…病気になってしまうわ」
私が社交界になじめないもう一つの理由は、宮廷貴族達は毎日入浴するのは野蛮だと言われている。
お母様の実家では天然の温泉があり毎日入浴する習慣があった。
その所為か、辺境貴族と宮廷貴族の寿命は異なってる。
父方の祖父母は早くに病にかかり亡くなっているのに対して、お母様のお母様。
つまり母方の私の祖母は今も元気だ。
「お姉様、王宮ではお風呂に入れないんですか」
「宮廷貴族は基本毎日に入浴しないのよ!」
「信じられない…」
ドン引きだ。
なんて不潔なのかしら?
「女性としての身だしなみを怠るとは…嘆かわしい」
「先ほどから無礼でしょう。貴女はなんなの?」
お姉様が怒っている理由が解らなの中エルガー先生は普通に答えた。
「私はこの侯爵家の家庭教師です」
「お母様!何故です…私の許可なく他の家庭教師を入れるなんて」
「フッ…」
「何がおかしいのです!」
エルガー先生が笑うとお姉様が怒鳴る。
「侯爵家の使用人、家庭教師を決めるのは女主人である奥様ですわ?なぜそのような事を」
「貴方!ジャネット様は聖女ですわよ」
「だから?」
「えっ‥」
お姉様とヒテック先生が固まる。
「確かにジャネット様は聖女様ですが、だからなんですの?ジャネット様は聖女である前に侯爵令嬢でしょう?ご両親に命令するとは何問う事でしょう」
「命令なんて…」
「ですが奥様を下目に見ておられますわね。これは躾をした教師、侍女がきちんとお教えしなかったのでしょう」
唖然とする二人は口を挟む暇もない。
お母様も同様だった。
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