聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!

ユウ

文字の大きさ
上 下
15 / 155

14正反対の娘~サリアside⑤

しおりを挟む



祖父母に大事に育てられ、特別な存在だと認識するようになったジャネットはサーシャを見下すようになった。

本人は自分が正しい事を言っていると思いこんでいる。


「サーシャ、貴女はどうしてそんなこともできないの?同い年の令嬢出来る事をできないなんて勉強をサボっているからよ。寝る時間も努力しなさい」

「ごめんなさい」

「貴族令嬢がそんな謝罪の仕方ありますか!」

「ジャネット!」


余りにも言い方が酷く私は咎めようとするも。
義母はジャネットの味方で、私が少しでも咎めればジャネットは社交界で私を事を悪く言う始末だった。


「聞きまして」

「ええ、優秀なジャネット様を毛嫌いして出来の悪い妹君を甘やかしているそうよ」

「お気の毒なジャネット様、母君の愛情もなく、祖母に任せきりだとか」

「ジャネット様を妬んでいるとか」


どうして…
私だってジャネットと過ごす時間を増やしたい。

でもジャネットは私を嫌い。
拒絶している。

それでも私は努力した。
なのに、どうしてこんな酷い事を。

社交界で私の噂を流される中孤立してしまった私はジャネットを受け入れられなくなり。

その数年後義母が病に倒れ、暴言が酷くなった。


「ジャネット、お祖母様にお見舞いを言ってくれないかしら。貴女が顔を見せれば落ち着くわ」

「そんな時間ないわ。お母様が楽をしたいからでしょ?嫌よ」

「少しでいいのよ…お祖母様は…」

「自分でできないからって私に押し付けないで。私は殿下と食事に行くのよ。嫁でしょ?その程度のできないの?」

蔑んだ目。
この程度のできないのかと責めるような目は義母と瓜二つで私は止んでしまいそうになった。


そんな時だった。


「お母様、大丈夫?」

「サーシャ」

「お祖母様の看病は私がするから‥私、お祖母様に嫌われているから気にしないわ」

「だけど…」

使用人には最低限のお世話しか任せていない。
義母の面倒を見るように命じたのは義父だったのだ。


嫁ならば義母の支えになれと言われるも、嫁として認めていないのに何故?とも思った。


夫は仕事で飛び回り、他国にいるので頼れない。
そんな中サーシャは私の心の支えだった。


「こんなことしかできなくて…」

「いいのよ。十分だわ」


聖女の力があっても心無い言葉で傷つけるジャネット。
聖女の力がなくても温かい言葉で私を支え守ってくれるサーシャに私の心は…


既に決まっていたのかもしれない。

ジャネットを愛しいと思えない。

愛情を向けられなかったのだ。

母親として失格かもしれないけどもう限界だった。

私の中でジャネットは娘ではなくなってしまったのだから。

しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された公爵令嬢は本当はその王国にとってなくてはならない存在でしたけど、もう遅いです

神崎 ルナ
恋愛
ロザンナ・ブリオッシュ公爵令嬢は美形揃いの公爵家の中でも比較的地味な部類に入る。茶色の髪にこげ茶の瞳はおとなしめな外見に拍車をかけて見えた。そのせいか、婚約者のこのトレント王国の王太子クルクスル殿下には最初から塩対応されていた。 そんな折り、王太子に近付く女性がいるという。 アリサ・タンザイト子爵令嬢は、貴族令嬢とは思えないほどその親しみやすさで王太子の心を捕らえてしまったようなのだ。 仲がよさげな二人の様子を見たロザンナは少しばかり不安を感じたが。 (まさか、ね) だが、その不安は的中し、ロザンナは王太子に婚約破棄を告げられてしまう。 ――実は、婚約破棄され追放された地味な令嬢はとても重要な役目をになっていたのに。 (※誤字報告ありがとうございます)

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

いつだって二番目。こんな自分とさよならします!

椿蛍
恋愛
小説『二番目の姫』の中に転生した私。 ヒロインは第二王女として生まれ、いつも脇役の二番目にされてしまう運命にある。 ヒロインは婚約者から嫌われ、両親からは差別され、周囲も冷たい。 嫉妬したヒロインは暴走し、ラストは『お姉様……。私を救ってくれてありがとう』ガクッ……で終わるお話だ。  そんなヒロインはちょっとね……って、私が転生したのは二番目の姫!? 小説どおり、私はいつも『二番目』扱い。 いつも第一王女の姉が優先される日々。 そして、待ち受ける死。 ――この運命、私は変えられるの? ※表紙イラストは作成者様からお借りしてます。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません

黒木 楓
恋愛
 子爵令嬢パトリシアは、カルスに婚約破棄を言い渡されていた。  激務だった私は婚約破棄になったことに内心喜びながら、家に帰っていた。  婚約破棄はカルスとカルスの家族だけで決めたらしく、他の人は何も知らない。  婚約破棄したことを報告すると大騒ぎになり、私の協力によって領地が繁栄していたことをカルスは知る。  翌日――カルスは謝罪して再び婚約して欲しいと頼み込んでくるけど、婚約する気はありません。

【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す

おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」 鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。 え?悲しくないのかですって? そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー ◇よくある婚約破棄 ◇元サヤはないです ◇タグは増えたりします ◇薬物などの危険物が少し登場します

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

【完結】もう結構ですわ!

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
 どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。  愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!  ハッピーエンド確定 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/11/29……完結 2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位 2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位 2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位 2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位 2024/09/11……連載開始

処理中です...