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10正反対の娘~サリアside①
しおりを挟む大貴族のリシュフェール侯爵家に嫁いだ私は戦いの日々だった。
私は伯爵令嬢で、決して身分は高くなく次女だった。
決して家族関係は悪くない。
優しい両親と姉と妹に囲まれて幸福な少女時代を過ごしていた。
そんな折、私はリシュフェール家から婚約の申し込みが来た。
姉は体が弱く、妹は研究者として働き独立を目指していたので私が受けるのは当然の流れだった。
カルディ・リシュフェール様。
社交界でも人気の方で私も学生時代から憧れていた人だった。
平凡な令嬢だった私は社交界ではあっという間に玉の輿だと言われたけど、その日から過酷な日々が始まった。
中位貴族の娘でしかない私は高位貴族の仲間入りをする事は幸福ではなく、冷たい視線とプレッシャーがついて回る。
世継ぎを望まれる日々。
「お前を嫁にした意味がなくなる。何としても世継ぎを」
「そうだ。健康で身ごもりやすいと聞いたから。出なければ意味がない」
まるで私は子供を産むだけの存在。
リシュフェール家の女主人として認められる事もなかった。
結婚生活一年目にして、私は子供を身ごもるも。
生まれたのは女の子で、二人は出産して直ぐの私を責めた。
「嫡男を産めないとは、何処まで出来損ないなの」
「美貌もなければ聡明ではない…娘の教育は一切口に出すな」
「貴女のような出来損ないに育てては我が侯爵家は恥をかく…子を産むしか価値がないというのに」
出産後体はズタボロで精神もえぐられる。
だけど、長女であるジャネットは加護を持っていると告げられると祖父母の目の色は変わった。
「この子を聖女に…嫌です」
「何を言うの?これは決定よ。お前に口を出す権利はないわ‥世継ぎを産めなかった癖に」
「そうだ。こんな出来損ないの嫁でも聖女を産んだのだ…」
私は何処まで傷つけられないとダメなの…
そこまで価値がないというの!
「父上、母上。聖女候補は他にもいましょう」
「カルディ」
「何より私の妻をそのような目で見ていらしたのですか」
静観していた夫は口を開く。
「奴隷と考えとは…なんと恥ずかしい真似を」
「カルディ!」
「私はこれまで妻の暴言に黙っていました。妻が必死で耐えていたからです。姑の陰湿な嫌がらせに…ですがこれ以上酷いなら私も考えがあります」
私を庇う様に厳しく言ってくださった夫。
この時私は泣きそうになった。
「跡継ぎが産めなくとも婿を取れば問題ない。今時時代錯誤も甚だしいですよ」
「なんて口の利き方を」
「カルディ!」
だけど、表立って私を庇ってくださった事で姑は私を目の敵にするようになった。
「邸を出よう」
仕事で邸を空けることが多い事を利用して姑は私を苛め倒した。
そんなことが続き、夫は邸を出ようとも言ってくださったけど、私は耐える道を選んだ。
私をなんとかして守ろうとしてくれる優しい夫を支えたいから。
そんな日々の中、私は第二子を身籠った。
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