聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!

ユウ

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エルガー先生が専属の家庭教師になってから私は勉強が楽しくなった。
まずは語学だったが。


「本を読むよりも映画を見ましょう。その方が効率的です」


「エルガー先生、どのような映画を」


隣で春麗が冷や汗を流しながら訪ねる。


「勿論鬼軍曹の大行進です」

「え!」

「うわぁ、私見て見たかったんです!拳で殴り合って敵対する軍人さんと愛を語り合う物語ですね!一度も見て見たかったんです!」


「お嬢様…」


ロマンス小説よりも私は格闘技の方が好きなのよね。
でも、そう言ったものはお姉様が怒って処分してしまったのだけど。


「早く行きましょう」

「お嬢様、映画は逃げませんわ」


エルガー先生は机で勉強よりも野外授業が多かった。
ダンスの授業に関しても楽しくできるように色々工夫をしてくれて今ではちゃんと踊れるようになった。


「語学は慣れですわ。お嬢様は覚えが悪くありません。むしろ逆です…何より耳がよろしいですから」

「え?サーシャが?」

「はい、私はこれまで多くの生徒を見て参りましたがお嬢様は稀に見る才をお持ちです」


才能と言われても解らないんだけど。

「まずは、お嬢様は大変耳が良く、興味を示せば恐ろしい記憶能力を使われます」

「記憶ですか…ですが」

「人間興味を持つ事はとことん学ぼうとするのです。ですが苦手な事は逆効果…というか、こんな基本的な事を解らない家庭教師がいるとはその者は本当に王室家庭教師でしょうか」


キツイ!
何時も以上い言葉が厳しいぞ!


「こちら、お嬢様の適性検査を行いましたのでご覧くださいませ」

お母様に見せたのは以前簡単なクイズを形式のテストをしたものだ。

「一般教養は酷いわね…あら?」

「お待ちください奥様、一般教養の成績はよろしくありません。ですがそんなものは同でも良いのです」


どうでもよくないような気がするんだけど。
貴族令嬢として生きていけない気がするんだけど、先生はそれでいいのか。


「奥様、サーシャ様は辺境地で竜の住まう谷で生きていくのであれば一般教養よりもサバイバルの才が必要ですわ」


「まぁ…」

そこでお母様も納得するんだ。


「これまで野外実習でお嬢様の能力を見極めました。もし私の推測が間違いでなければ」

「先生…それは」

「全ては本日の映画鑑賞の後にはっきりするでしょう。ですからそれまで待ってくださいますか」


「解りました」


先生がどうして一般教養以外の勉強に力を入れるのか。
机に向かう勉強を後回しにする意味を知るのは数日後の事だった。




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