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私は淑女教育が苦手だ。
でも決して読書が嫌いなわけではない。

ただ興味がないのはまったく身につかないけど。
逆に乗馬は得意で、体を動かすのは大好きだったのだけど。


フレデリック様が真剣な表情で私に尋ねた。


「大聖堂には仕掛けがあったはずなのですが」


「全部回避しました」


「「「回避!」」」


曰く、聖堂が閉まっている時間は数多の仕掛けや罠があるそうなのだけど。
私は全てを回避した。

「すごく単純な罠でしたね!」

「単純…一般の騎士ですら回避は難しいのですが」

「それに絵画を保管している場所には暗号を解読しないといけないのですが」


暗号?
あの簡単なクイズのことかな?

あれも楽勝だった。


「随分と面白い姫君ですわね」

「お恥ずかしいながら、社交界デビューもできておりません」

「まぁ、それは良かったではありませんか…でしたら領地で社交界デビューなさればいいのだわ」

「モニーク伯爵夫人…」


お母様とモニーク伯爵夫人が何を離しているかもし知らずに私は念願の谷シリーズを見て興奮していた。


「フレデリック様、画集等は領地内で売られていますでしょうか」

「貸し出しはしていますが、販売はしていませんね」

「残念です」


王都では売られていないからもしかしたらと思い残念であるが…


「ならば本物を見てきたらいかが?」

「母上…またそんな」

「サーシャ様は乗馬はお得意ですわね?」


「はい」


何故そんなことが解ったのだろうか。
お母様が話したとは思えないのだけど、ちらりと見ると違うな。


「手を見れば解りますわ。ちなみにですが、高い所はお好きかしら?」

「大好きです」

「母上…まさか」


フレデリック様の表情がよろしくないのは気のせいかな?



「うぉぉ!すごい!」

「サーシャ嬢!大丈夫ですか!」



モニーク伯爵夫人は谷を見たいという私の願いを叶えてくださった。


「気持ちいい!」

「サーシャ嬢!絶対に手綱を離さないでください!」



現在私は夢にまで見た竜の背中に乗り空の旅を堪能している。


「あっ…ありえない」

「何故だ。初めてで当たり前のように竜を乗りこなしているだと」


背後で護衛の竜騎士の皆さんが何やらブツブツ言っている。


「これは素晴らしい腕前ね。飛竜を乗り回すなんて」

「ああ…サーシャ」

「お嬢様、なんて恐ろしい方なのでしょう」


背後でお母様と春麗が嘆き悲しんでいる事など知る由もない。

ただ私は空の旅を心から堪能していたのだから。


王都での世界の狭さと窮屈な生活に解放され私はこの時間を楽しんだ後に念願の谷を周り、その後竜の谷にお邪魔してその日を楽しんだのだった。


婚約に関しては断られると思ったら、正式に婚約を結ぶ手筈となった。


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