ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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最終章運命の先

24.予測不能

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最大の力を込めた破壊力は抜群だった。
流石に生きているわけもないと思ったバルトーク公爵は高笑いをする。


「少しばかり予想外に驚いたが、これで死んだな」


生きているはずがないと思いながらも煙が消えていくのだが…


「ああ、麗しの聖女様。ヒューバートは貴方様の元に逝ったのですね」


横たわり指を組んで祈りを捧げている。


「「「めちゃくちゃピンピンしてる!」」」

何故か生きている。
本人はやられてしまったと思い込んでいるのだが。



「貴様ぁぁぁ!ふざけたふりをして騙していたか。貴様がリーダーだったのだな」


バルトーク公爵はヒューバートこそがリーダーである勘違いした。
幾度なく攻撃を受けるも動じないヒューバートを威嚇した。


「ならば直接この杖で燃やしてくれるわ!」

「は?」

黒水晶をヒューバートに近づけようとした時だった。



バチバチ電流が流れる。


「ぎゃああああ!」

ヒューバートの胸元が強く光を放ちバルトーク公爵の杖が跳ね返される。


「おい、聖櫃が反応しているぞ」

クロードが手に持っていた聖櫃が光りだす。

「エステル様、槍が」

「こちらも共鳴してます」


ヒューバートの胸の光に反応するように、槍も共鳴している。


そしてもう一つの光が差す方向には…


「間に合ったようですね!」

「ああ」


アルフォードとアクセレイが現れた。


「エステル!!」


「お父様!」

傷を負っているが、癒しの魔法で回復したロバートも共にいた。


「貴様、何故生きている!」

「公爵、私はしぶといんですよ。そう簡単にくたばってたまりません。悪い虫に群がる男から最愛の娘を守り続ける使命がありますので」


「おい、悪い虫って誰の事だ。まさか俺の事か?」

この非常時にボケをかますロバートは大物だった。


「もちろんエステルに群がる男は全て悪い虫です!故に私はそう簡単に死にません…ええ、何があろうとも!」


ここでも親ばかを発揮するロバートに誰もが呆れる。


「これだけ元気なら問題ないだろうが、封印の邪魔をするなよ」

「できれば避難していただきたいのですが、無理そうですしね」



黒の騎士と白の騎士が現れ形勢逆転となる。


「貴様!」

「残念だったな、お前にはチェックメイトは出来ない。ルークを落とすこともできやしねぇよ」

「貴方は駒の動かし方を見誤りました。彼は数にない歩兵ポーンだ。ルークやキングにクィーン程の力はありませんが…油断すると痛い目に合うんですよ」


あえてチェス駒の一番弱い駒の歩兵に例えたが、時として塔を落とすこともできる。


「黙れ…こんな雑魚に!」

「フッ、魔力が尽きたか」

「何だと!」


攻撃魔法を使おうとするも力が入らない。

「いくら悪魔を取り憑かせようとも無限なはずがない。あげくこの部屋の結界は壊れている。ついでにこいつが暴れまわってくれたおかげで学園の敷地内に張り巡らせた結界も呪詛の種も浄化されている」


「嘘でしょ…あの馬鹿が」

「あの馬鹿ヒューバートがそんなことを」

「思わぬ伏兵と」

「馬鹿でもやるときはやるんですね」

「始めてヒューバートさんが役に立ちました。ね、エステル様!」


それぞれ言いたい放題を言っていた。
唯一憐れみの表情を向けているのはルークぐらいだった。


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