ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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最終章運命の先

11.思いは一つ

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エドワードの言葉はとても悲しいモノだった。


「そんな…あんまりです」

「仮にもあの親子は人間ですか!非道すぎる!」


ルークとジークフリートはエステルがずっと受けていた仕打ちを思うとやりきれなかった。

「前と今が違うのはエステルがロバート殿とヴィオラ殿の手を取ったからです。きっと過去と決別しようと持ったのでしょう」

「私はエステル様の過去を見せられました。エステル様は逆行する前はただひたすら信じていたんだと思います。だって、親を恋しがるのは当然ですもの!」

涙を流しながらあの時の記憶を思いだす。
決して責めようともしなかったエステルはずっと待っていたのだろうと思った。

何時か、見てくれると。
長い苦しみに耐え続けたエステルの心境を思うと胸が痛くて仕方なかった。


「狂っている…むしろ悪魔はアイツらだろ」

「ですが、ここまでエステルさんを憎むと?解らん」

「確かにいくらなんでもやり過ぎだと思うわ」

人間性云々の問題だった。
どうしてもエステルが気に入らないならば、他にも方法はあったはずだ。


「恐らく、アイツらの歪んだ心に悪魔が吸い寄せられたか…もしくは誰かにそそのかされ悪魔の種を植え付けられたか」

「明らかに後者ですわクロード様」

人として最低で弁護の余地もない連中であるが、ここまで計画性を持ってエステルを痛めつけるだけの忍耐力に度胸があるとは思えない。


「背後にいたんだ…そうだろ」


「はい…既にあの男は今生でも接触していました。姿を変える魔法を与えたのはあの男です」

「ぶっ殺してやる!」


クロードの中でこれ以上ない程の憤りを感じた。
人を陥れ、自分は高みの見物をしてあざ笑うあの男が許せなかった。


「俺は人を利用するなんて最低だとは言わない。貴族社会なんてものは相手を踏みつけてのし上がってなんぼの世界だ…だがな!」


人の命を奪い、運命を翻弄し、今も安全圏で笑っているあの男が許せない。



「バルトーク!!」


誰よりも辛い思いをしながらも必死であがき続けたエステルの思いを長きにわたり踏みにじる行為をクロードは許すことはできない。


「兄上、今度こそあの男の悪事を破らなくてはなりません。エステルをここで死なせるわけに!」

「元からそのつもりだ。刺し違えてでもケリをつける気だろうが、俺の許可なく勝手に死ぬことは許さない」


一人で逝くなんて認めてやるものか。

絶対に死なせない。


「そうですよ!絶対許しません」

「あの馬鹿、一人で戦ってんじゃないわよ!ちょっとサブロー!アンタの馬鹿力で壊しなさい」

「おう!絶対壊すと!」

「何処かに結界の源があるはずです!」


「絶対にエステル様を一人にしません!」


各々は自分自身にできることをするべく動き出した。



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