ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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最終章運命の先

8.氷の障壁

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万事休すと言った所だろうか、アリスを救うことができたのも束の間。


瘴気に包まれエステルは負傷した傷口が悪化する。
全体が毒で覆われ、瘴気は毒にも近しく、重症を負ったエステルにはかなりキツかった。


「アリス、絶対にこの空気を吸ってはダメ」

「エステル様!」


アリスの場所だけ結界を敷く。
広い範囲ならば魔力の消費が激しく強度な結界を敷くことはできない。

対して小さな結界ならば魔力の消費を抑え込み、尚且つ強度な結界を敷くことができる。


(なんとかアリスをみんなの元に…あれは!)


気配を隠しこっそりとこちらに向かってくるナポレオン。
瓦礫をに身を潜めエステルを救おうとしているのだが、いくらナポレオンでもこの瘴気に触れたら一環の終わりだった。


(いえ…方法はあるわ)


エステルはアリスを結果に閉じ込めたまま、声を張り上げる。


「ナポレオン!糸を!」

「エステル様!」


「ピー!!」


太い糸がこちらに向かってくる。

「させるか!」

ヘレンの妨害が来るがエステルは氷で凍らせ、壁を作る。
ただし、時間稼ぎにか過ぎなかった。

僅かな時間でも十分だった。

「エステル様ぁぁ!!」

そのまま糸はアリスを巻き付け、ナポレオンの元に向かった。


「頼んだわよナポレオン!」


「ピー!」

糸でアリスの体を巻き付け自分の側に連れて行きキャッチする。


アリスが無事にナポレオンの元に保護されたのを確認してすぐに氷の壁を作り遮断した。


「エステル様!何を!」

「エステル!アンタ何やってんのよ!」

「エステルさん!」


氷の壁はちょっとやそっとでは壊れない仕組みになっている。



「そこなら安全です。アリスは最期の希望です…希望の光を消させるわけに行きません」

「何を言っているんですかエステル様…希望って」

アリスはエステルが言わんとしていることが解らなかった。

これではまるで、最後はアリスに託すかのようではないか。


「ヘレンと決着をつけるのは私の役目…だからこそ貴方を巻きこめないわ」


憎しみの矛先は聖女に向かっているが、一番の矛先はエステルだった。
悪魔に取り憑かれたヘレンと戦うのはエステルの役目だと言い放つと同時に覚悟を決めていた。

「エステル!お前馬鹿言ってんじゃねぇぞ!」

「このお馬鹿!アンタ一人で決着つける気?冗談じゃないわよ!」

エステルの覚悟に彼等は声を張り上げる。


「貴方はどうして馬鹿なんですか!僕達は運命共同体ではありませんか!」

「エステルさん!障壁を解いてください!嫌です」

「ダメと!」


氷で作られた壁は何をしても壊れることはなく、彼は見守ることしかできずにいた。


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