ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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最終章運命の先

3.偽りの姿

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光さす方角を見るとそこにはエドワードとアリスがいた。


「エド様?」

「エステル、君も既に気づいているんじゃないか?」

何をとは聞かなかった。
アリアナが偽りの姿だと言う審議についてだった。


「彼女はあまりにも異質過ぎる。兄上」

「ああ、姿は変わってもどうしても変えられないものがある」


魔法で姿を偽れるのは外見だけで魔力や魂を偽ることは不可能だった。

「アリス、君は気づいてたはずだ」

「はい…確信は持てませんでした。でも、彼女の魔力はとても似ているんです」


唇を噛みしめながらもエステルを痛々しそうに見つめる。

「エステル様を傷つけてしまうと思って黙っていました」

「私を傷つける?」

アリスは聖女候補であり、現在は一番聖女に近いと評価されている。
その為闇に関しては一番敏感だったので、気づきながらも証拠がなかったので断言できなかった。


「君の判断は間違っていない…僕も口を噤んでいたので同罪だ」

「既に黙って処理できる状態じゃない。あの馬鹿女だけならばまだいいが…背後に馬鹿共がついている以上厄介だ」

エステル以外は黒幕に気づいているような口ぶりだった。

クロードは表情を変えることなく重い口を開き真実を告げた。


「もう気付いているはずだ。アイツはヘレンだ」

「ヘレン…?」

辺境地に送られ平民として生きるしかなくなったヘレンが何故と思った。
姿を変える魔法なんて高度な能力は持ち合わせていないはずなのに、どうしてできたのだろうか。


「ヘレンは魅了の魔法が使えたな」

「はい、ですが!」

「さほど強力ではなかった…が、この学園ではかなり力があったか?」

「はい」


王都にいる時はそれほど強い魅了を使えたていなかったように思える。

なのに学園ではどうだろうか。


「ヘレンさんの魅了魔法はあまりにも弱いですが、闇魔法がそれを手助けしていたらどうでしょうか」

「闇魔法…」

「黒魔術と言っても過言ではありません。黒魔術は対価を支払えば強大な魔力を使えます」

対価と言われ背筋が凍りつく。
古の時代より、闇魔法や黒魔術を使うには人の命を対価として強い魔力を得ることができる。

黒魔術を用いて他者に呪いをかけることができるし、術者の意のままに操り最悪命すら奪うことも不可能ではなかった。


「ならば、彼女はヘレンで人の命を対価にしたと?」

「言いたくはないけれど、あの女なら人の命を奪うことも平気でする。君が一番解っているんじゃないか?」

「エド様?」

また違和感を感じる。
この違和感は数年に渡って感じていたのだが、今日ほど強い違和感を感じたことはない。


「エド様…」


エステルはエドワードを見据えて名前を呼ぼうとした時だった。


強い殺気を感じ、背後から何かが迫っているのを感じた。

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