ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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最終章運命の先

2.真実

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聖女の存在を考えながら歩き続けると光が見えた。

「出口ですね」

「ああ」

出口に向かって歩こうとするエステルだったが、クロードに手を引かれる。


「エステル、約束してくれ」

「はい」

「もし、お前が聖女としての資格があっても…絶対に聖女にならないでくれ」


クロードはエステルの肩を掴み泣きそうな表情で告げる。


「この国が破滅の道を歩もうとも、聖女は存在してはならない。聖女の亡骸を積み上げるならば亡ぶべきだ。王族も王も貴族も…国は民の為のものだ」

「クロード様?何を…」

「聖女なんていない方がいい。大義名分で殺される少女を生み出してはいけない。俺達は国を民を守る立場でありながら、その民を殺すなんて許されない!何より俺はお前を失いたくない!」


感情的になるクロードは無意識に吐き出した言葉に気づく。


(もう…?俺は何を言っているんだ?)

まるでエステルを一度失ったような口ぶりだった。
クロードには自覚はなかったが、何故か聖女とエステルを切り離すことができなかった。


「クロード様、落ち着いてください」

「俺は冷静だ。だが、不安なんだ」

あの決闘の日から不安が拭えなかった。
あの時聖女の姿を借りたエステルを見た時からずっと不安を抱き続けていた。


「私が聖女であるはずはありません」

「だが、あの決闘でお前は確かに聖女の光を放った。俺達王族には聖女の聖魔法を見分けることができる」


ロバートと戦い破れそうになった時に放った光。
あの時も聖女の声を聞き、何かに取り憑かれるような感覚はあった。

だとしても聖女候補であるのはエステルではない。


「ああ、アリスが候補だが…聖女ではない。あくまで候補だ」

「それに候補なら」

「あの女が候補なんてありえない。アイツは光魔法を宿していない…闇魔法だ」

はっきり断言するクロードは確信があった。
同時にアリアナがあまりにも異質過ぎるていたことにも。


「アイツの魂は異質だ」

「それは…通常人の魂は一つ。二つあることは稀だ」

「ですが、私も…」

以前王宮でプリセラに言われた事を思い出す。

「確かにそう言った者もいる…だがアイツの場合魂に闇が入る混んでいる。恐らく今の姿は魔法で化けている」

「何故」

「これは俺の憶測に過ぎないが、あの女は」


闇魔法保持者であり、偽りの姿で周りを欺いている理由が解らないエステルに真実を告げようとした時だった。


「それはあの女がヘレンだからだよ」


もう一つの方向から現れた人物に告げられた言葉にビクついた。


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