ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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第七部可憐な皇女と聖騎士

3.出世2

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ユランが御褒美を受けた同時刻。
ミシェルとアリスも同様に出世をしていた。


「夢見たいです。憧れのローブ!」

「やっぱり宮廷師団の魔導士の制服は違うわね!シルクだわ」


二人は宮廷師団の中でも花形の魔導士の見習いとして入ることが許された。
アリスは王立研究所の研究員として、ミシェルは魔導士の補佐として正式に任命された。

しかも王族から勲章を貰ったことにより王家直属の魔導士の証を貰ったのだ。
勲章とは花を意味し、王からの信頼を得たという証として平民であろうと粗末な扱いをすれば罰せられる。

アリスは平民初で勲章を授与した。


「白いローブです…すごくキラキラしてますね!」

「当然よ!」

シルクでできたローブは、わずかに輝きを放ちキラキラしている。
一緒に当たらえられた杖も派手さはなくとも黄金と白銀の杖でとても立派だった。

これは王妃から直接与えられた価値のあるものだった。


「でも良かったんでしょうか?」

「こういうのはありがたくいただいて置くのよ」

アリスは棚ぼた形式で授かったにすぎないと考えていたが、素直に喜ぶべきだと言うミシェル。

「国に王族の皆様に誠心誠意仕えなさい」

「え?」

「王族が裏切る人間は出て来るわ…その時も盾となるのよ」


受けた恩を返す方法は一つしかない。
いつ何時貴族達が反旗を翻すか解らない時に王家を守れるか。

「強欲な人間から王族の皆様を守りなさい。それだけが私達にできることよ」

「はい!」

辺境の地にいる貴族は厳しい土地で国境を守っているからこそ、信頼してくれる主君を第一と考える騎士気質が多い。

ミシェルもセイレーンの末裔であるが王家に忠誠を誓っている。


だからこそ、王家を脅かす敵を逃してはならない。


「でも、今回の一番の勲章を貰うべきは私達じゃないけど」

「そうですよね。あの時のエステル様の気迫はすごかったです」

「いぅぽ間違えたら罰せられていたけどね」

いくら罪人を捕える為と言えど、間違えれば王族に怪我を負わせていたかもしれないのだ。


「お咎めがなくてよかったです」

「そうね、両陛下の恩情だわ」


あの後本当に大変だったが王妃とモントワール侯爵夫人が手を回し大事に至らなかった。

何よりモントワール侯爵夫人が頭を下げ国王と王妃に頼み込んだのだ。


クロードの心を守ったエステルこそが騎士のあるべき姿ではないかと。
暗殺を未然に防いだことも考慮し、エステルはおとがめなしととりなしてもらった。


「モントワール侯爵夫人は素敵な女性ね」

「当然よ。私の王子様の母君なんだから」

「ミシェルさん…」


例え実らなくとも永遠の王子様だと豪語するミシェルに寂し気な目を向ける。


「そんな顔をしないでくれる?」

「だって…」

「エステルなら許してあげるわ。他の女なら呪い殺すけど」


ずっと前からこの恋は実らない。
解っているいるし、既に決着がついているのでそこまで傷ついていなかった。


(本当に良かった…)

不器用な二人はようやくあるべき場所に行けた。
心から愛する人の幸せを願うことができたミシェルは表情はとても晴れやかだった。

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