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第五部見習い騎士
14.見習い騎士就任
しおりを挟む早朝から侍女達にこれでもかと世話をされ。
あらかじめ与えられた制服を身につけ、軽くオシャレをさせられそうになったので必死に止める。
「お嬢様、そのような質素な」
「私は騎士として行くのよ。必要なのは剣だけよ」
「そんなぁぁぁ!!」
お傍付き侍女のセレナは落ち込む。
見習い騎士としての就任ならば晴れ姿になるのだからとせめてお洒落をと気合を入れていた。
「急がないと遅れてしまうわ。クニッツ馬車を」
「かしこまりましたお嬢様」
泣き出すセレナを無視してクニッツに馬車を用意させ、その場を後にする。
「準備ができたようだね…エステル」
「はい、お父様」
支度が整ったのか確認しに来たロバートだった。
「旦那様ぁー!!」
涙目で訴えようとするセレナだったが、ロバートはエステルを見て涙ぐんでいた。
「いい…似合っている!!」
涙ながらに我が娘の晴れ姿が決まっており涙している。
「ああ、なんて凛々しいんだ。君にはどんな美しい装飾品も必要ないね」
「おっ、お父様…」
べた褒めする父に若干引き気味だったが、着飾らされるよりはましだった、
「第二騎士団ではないのか不服だが…」
「むしろいい経験になると思います」
「そうか…」
第一騎士団を率いる騎士団長は優れた人柄でもある為、疑いようはない。
ロバートとも上位貴族故に苦楽を共にし、現在の近衛騎士団の礎を築いているのでとても信頼をしている。
信頼していても騎士団は女性がほとんどいないので不安を抱くなと言う方が無理な話だった。
そして就任当日。
エステルは緊張しながらも挨拶に向かった。
「ここね」
扉に手を伸ばす。
「失礼します公爵閣下」
「やぁ、待っていたよ」
エステルを出迎えてくれたのは第一騎士団団長、フリージア公爵。
王族の本家筋とも親族にで元王女殿下を妻に娶った人物でありながらの身分をひけらかそうとはしない人徳者として慕われている。
元は次男であるにもかかわらず才能故に長男を追い越し跡継ぎになった。
「入団試験お疲れ様」
「もったないお言葉にございます」
上位貴族を父親に持ちながらも相手は王族の親族でもある。
作法を間違えたり無礼な真似をすればクビが飛ぶので慎重にしなくては…と思うが。
「閣下!お茶ってこれでよかったですか?」
「この馬鹿!紅茶にレモンを突っ込むな!脳筋が!!」
奥の方が随分と騒々しい声が聞こえた。
(聞き間違いかしら?)
きっとそうに違いないと自分に言い聞かすのだが…
(え?女性騎士?)
現れたのは女性騎士だった。
「おい、いい加減にお茶ぐらい満足に淹れられないのか!」
本を片手に起こる男性には見覚えがあった。
「セス先輩?」
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セス・アクロスがいた。
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