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第四部帰省とお家事情
47.見解
しおりを挟む貴族にとって爵位を奪われることと領地を返上することは、とても屈辱的なことであり。
二度と貴族として認識されないと同じことだった。
後ろ盾となる有益な貴族がいるならば、話は別となる。
ただ、いればの話だ。
「貴方達は辺境の地でしばらく反省していなさい」
「お待ちください、私の爵位を奪うとしても父上の一存で叶うことではありません!」
いかに公爵と言えど、伯爵以上の職位を持つ者を身内でもそう簡単に裁くことはできないのも確かだが、できなくはないのだ。
(この期に及んで‥‥)
ジェームスの権力を持ってすればこの二人を処分することなど動作もないことだということにどうして気づかないのか。
エステルはジェームズの意図する行動を理解していた。
爵位を奪うだけでは、なんらかの形で報復をすることもあるだろうし、伯爵の地位を持っている以上色々厄介なのだ。
アルカディア王国では貴族を罰する際には重い罪を犯したならば爵位を奪うことはできる。
領地に追いやることもできるが、それだけではただ謹慎させただけだった。
完全に廃嫡させるか、アルスター家との関係を切らなくてはならないが、現在の罪状では罪が軽すぎる。
我が子に虐待、暴行を働いたとしても、生みの親が躾をしたと言えば裁判で完全に罪に問うのは難しい。
虐待死をした事実確認で映像を見せたが、殺意があったと立証できないのだ。
それだけに貴族を罰することはとても困難なことだった。
「アンタのお祖母様なら、権力でどうにかできるはずでしょ」
「はい」
「甘いな、ジェームズは馬鹿共を一層する気だ」
「「え?」」
クロードがミシェルの考えを否定する。
第三者から見ればmジェームズのやり方はあまりにも手ぬるいと思えるが、深く考えれば別の考えが浮かぶ。
「何のために元老院に訴えた?会議で何を話していたか…俺は読めたぜ」
「どういうことでしょう」
「俺だったら領地に隠居生活なんて生ぬるいことはしないってことだ」
クロードは腐った果実は処分しなくてはならないと思っていた。
他の実が腐る前に駆除し、他の実が腐らないように手段を取らなくてはならない。
「随分と、騒々しいのモノじゃな」
コツンと音を立てて三人の老人がこちたに歩いて来る。
見てくれの年齢はかなりの高齢者だが、未だに存在感がある。
貫禄があり、威圧感があるその人物。
アルカディア王国をお支える宮廷三師と呼ばれる元老院の登場にエステルは言葉を失った。
「元老院様!!」
「まさか、この夜会に!」
「王ですら礼を尽くし、教皇様ですら頭が上がらない存在!」
他の貴族達も頭を下げる。
彼等はこの国を裏から支える重要な人物であり。
彼等失くしてこの国は成り立たないと恐れられる存在だった。
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