ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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第四部帰省とお家事情

49.謎解き

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ジュリエッタの罪は救いようのないものばかりだった。
我が子への虐待まがいの仕打ちに、社交界でも身分が低い令嬢や夫人に対する嫌がらせに数々。

多少の嫌がらせ程度ならば罪に問われることはない。
表向きは煌びやかな世界であっても裏では何をしているか解らない。

身分の低い人間を殺しても裁かれないのが現状なのだが、アルカディアでは子供に対する虐待は重罪とされている。

躾と言えば聞こえがいいが、実際ジュリエッタの行った躾は虐待であることは間違いない。


「数年前に邸が燃えた事件に関してだが…子供を一人残していたそうだな」

「私達は娘を殺そうなど思ってはおりません。あれは事故です…放火で」

「だとしても使用人も邸を開けた状態でとはおかしなものよ」

普通自分の娘が病気ならばせめて使用人に任せるか医師を呼ぶはずだが、それすらしなかった。

「普段からエステル嬢にする仕打ちはあまりにも酷いモノだと、報告が来ている。普段から暴力行為を行い、精神的、肉体的に痛めつけているとな」

「誤解です!」

否定を続けるジュリエッタは虐待した自覚もなければ罪の意識の欠けらもない。

「証言する者は多い…まぁその家の躾に他人が口を挟む問題ではないのだが…それが爵位も持たぬ令嬢ならばだ」


ドナルドの言うことが今一つ理解できていない二人。


「彼女は銀騎士の称号得た者であり、黒騎士、白騎士に匹敵する。その者を蔑み陥れることは許されぬ」

「お待ちください…そんな」

「伯爵でありながらその意味を知らぬとは言わせぬ。銀騎士はそれだけ重宝されるのだ。あまつさえそなた達は15年前に罪を犯しておるからな」

「「っ!!」」

二人の肩がビクつく。


「罪?」

エステルは訳が分からなかった。
二人は他になんの罪を犯しているのだろうと思ったのだ。


「エステル嬢、そなたはこれまで両親と妹に違和感を感じなかったか?」

「違和感…ですか?」

「ああ、そなたが何故ここまで忌み嫌われているのか。どうしてそなたは両親とあまりにも違うのか」

ドナルドの言葉に動揺が走る。
ずっと心の片隅に隠し続けていたことだからだ。

何故両親はこんなにも自分を毛嫌いするのだろうか。

どうしてヘレンだけを愛して自分を愛してくれないのだろうか。


その理由を探していた。
ヘレンのように愛想がよければよかったのか。

それとももっと美しく生まれてこれば愛されたのか。

勉強を頑張ればいいのか。


気が遠くなるほどの時間を凄し、苦痛を強いられて来たエステルは愛されることを諦めるようになっていた。

自分は愛されない人間だから仕方ないのだと。


「その答えをわしが教えてやろう」

「答え?」

「お待ちください…何を」

ジュリエッタの表情は見る見る真っ青になる。

何をしようとしているのだ。


「真実を暴いてやろう」



その言葉にエステルは頷いた。

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