ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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第三部騎士科の道

13.愛の為に

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ミシェルは作戦通り人を集め、お膳立てをした。

(エステルに嫌がらせをした奴等も地獄行きよ!)


ノーアンだけ処分しても意味がない。
この場にいる口先だけの騎士見習いも潰す気でいたのだ。



元々、ミシェルがこの学園に入るきっかけとなったのはある人物の願いからだった。



***



「お久しぶりでございますクロード様」

「ああ、一か月ぶりだな」

(ええ…背後から見守っておりましたが…)

ポッと頬を赤らめながら危険な発言を飲み込む。


互いに顔合わせはしなくとも遠くから見ていたので久しぶりではないのだが、クロードはストーキングされていたことには気づいていなかった。


「実は王都から追放された厄介な男がメトロ学園にいる知らせを受けた」

「え?」

「標的にされているのはエステルだ」

「なんですって!」


当時、ミシェルは影を送り込みエステルのことを知らせるように言っていたのだがノーアンのことまでは知らなかった。


「お前も影を送ってくれていたんだな」

「いっ…いえ」

「助かる。アイツはかなり世間知らずだから、お前のようにしっかりした友人がいてよかった」

(ああああああ!!)

ズキューンと音がする。
普段の不良王子とは異なり無防備な表情のクロードにミシェルは悶絶していた。

最近クロードは素の自分を見せるようになった。
ミシェルとの関係も親しい友人として接しているのだが、ミシェルからすれば憧れの人から優しい表情を送られ失神しそうだった。


ただし、エステルを交えてなのが少し気に入らない所だが…


「エステルのことだ。嫌がらせも仕方ないと思っているかもしれない」

「まぁ…」

元両親に、妹からの仕打ちの所為で感覚ずれているのでその可能性は十分に考えられる。


「だが、綺麗ごとや正義感ではどうにもならない。エステルには卑怯なことができないだろう」

「はい…」

「万一相手が悪くとも、自分に落ち度があったとズレた考えをする」

否定できなかった。


「そうなったら自分の身も守らないだろう…最悪な事態にだけはならなければいいが」

「クロード様…」

「俺が学園に直接いければいいが、諜報活動で明日は隣国に行かなくてはならない」

本当は直ぐにでも傍に行きたいというクロードに痛々しさを感じる。


「はぁー…」

(ああ、お労しいクロード様)


ミシェルは愛する人が悩み悲しんでいる姿は見たくなかった。


「エステルと別れの挨拶もできなかった…」

「仕方ありませんわ」

常に激務をこなしているクロードは多忙だった。
本来ならば学園に通っているはずなのに、それすらも叶わない状況だった。


ミシェルはクロードの苦しみが痛いほど解っていた。


だから――




「クロード様、このミシェルにお任せください!」


元から様子を見に行く予定だったが、変更して編入を決意。


(どうせ王都の学校はレベルが低かったしね!)

本当のことを言えば友達がいなかった。
辺境伯爵というたちばと優秀過ぎることや、オネェということで距離を置かれていたのだ。


王都にはエステルほどの楽士はいなかった。
口では邪険に扱いながらもミシェルはエステルを心配していたのでメトロ学園に行くことにした。


準備も万端で、ついでに影からさらなる情報を得ていざ学園に入ったのは良かったが、ミシェルの想像を絶する最悪な事態になっており堪忍袋の緒が切れたのだ。


最初の目的はエステルの監察お呼び罪深い聖職者を裁くことから、エステルを苛めた馬鹿を排除に切り替えたのだった。


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