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192死刑宣告~エセルバートside③
しおりを挟む逃げようとして後ずさると誰かにぶつかった。
「エセルバート様」
「ジョイル!」
振り返るとそこにはジョイルがいた。
「ジョイル!今すぐ僕を助けろ!こいつ等を」
「エセルバート様、私はとても痛かったのですよ。貴方に暴力を振るわれ…いいえ、貴方が逃げ出したあの日から心が痛かった」
「そんなことはどうでもいい!」
「どうでもいいですか…貴方はどこでおかしくなったのでしょう。貴方が分不相応にも跡継ぎになってしまったからでしょうか」
「何を…」
僕が跡継ぎに相応しくないだと?
僕はこれまでカスティージョ家の跡継ぎとして。
「母君と妹君から奥方様を守るどころか、逃げてアリア様にすべてを押し付けて来た。それでもあの頃はまだマシでした。妻を気遣えたというのに…いいえ、優越感に浸っていたのでしょうな」
「違う!」
「弱い妻を守る立派な夫でありたかった。愚かで無知な妻がいることで自分は優秀だと思いたかった」
「違う!」
「アリア様はどれだけ苦しくても貴方は助けない。波風を立てたくないからだ。弱い人だ」
「黙れ!」
僕は弱くない。
立派だったのに家族に恵まれなかった。
本当だったらもっと完璧な令嬢を妻に迎えれたのにアリアで妥協したんだ。
「アリア様が女主人として活躍するのを嫉妬てから貴方は転落した。ならばこれまでの罪を償うのです」
「償うような事は…」
「貴方の所為で自殺をしたテレアさんはどうなります。貴方に大事な時間を奪われた奥様は‥そして私を歩けない体にしたのです。責任を取ってください」
「止めろ…」
無数の手が伸びて来る。
「お前が悪い」
「お前の所為だ」
「責任を取れ!」
手が僕の体を掴み暖炉の傍に叩きつけられた。
「この世で最も罪深い人間は火あぶりにされます」
「アリア!」
「貴方は法律では正式に裁かれない。ですからここで私が裁きます」
「止めろ!」
暖炉に火がつけられ燃えて行く。
部屋の周りを炎が囲んで行く。
「熱い!止めてくれぇぇ!」
「この炎は消えませんわ」
「私達を苦しめた報いを受けてください」
アリアとジョイルが松明を持っている。
「何をする気だ」
「まだ足りません」
僕に炎を近づける。
まさか僕をそれで焼く気か。
「止めてくれ!止めろぉぉぉ!」
夢なのに熱い。
熱いだけでなく体に強烈な痛みが走った。
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