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185計画の裏側①
しおりを挟む早朝に新たな号外が出ていた。
「西の方に逃げたのね」
「またしても馬鹿をしたな」
新聞を見開くと、今度は女性に刃物を突き付けた写真が載っている。
私達の作戦がここまでとんとん拍子で上手くいくとは思わなかったわね。
「馬車を盗まれた商人がまさか私の知り合いとは思わないでしょうね」
「ああ、執事達があらかじめあの男が逃げるルートを確保してくれてよかった」
エセルバートは何が何でも逃げようとする。
逃亡している間に着々と恐怖心を植え付ける上で作戦を付け加えたのだ。
当初はある程度の罰を与えた後に牢獄に入れる予定だったのだけど。
三日前。
「恐れながら発言をお許しください」
「どうぞ」
ジョイルの一番弟子である彼が手を上げた。
「奥様の作戦は手ぬるすぎます」
「そう申しますと?」
「私として恐怖心を煽るだけでなく、これまで傷つけられた者の苦しみを与えるべきです」
「それは…」
言っている意味は解る。
でも同じ苦しみを耐えるのは難しいので、せめて囚われる間に追いかけられ続け恐怖心を与えて死にたくなった時に牢獄に入れる計画だ。
とは言え、私の計画は少し穴だらけだという指摘と。
「このままでは甘すぎます」
「ええ、甘いチョコレートにシロップと生クリームを乗せるよりも甘いです」
言い回しがなんというか。
そんなに甘すぎるのかしらね?
十分酷いと思うのだけど。
「奥様があのクソ男に時間を奪われ誇りを汚されたと聞きます」
「えっ‥ええ、でもそのことについてはもういいし」
「甘いです!それでは社交界生きて行けません」
その迫力に少し逃げ腰になった私だけど。
確かに私は押しが弱いのはエレナに散々指摘されてしまったのだけど。
「無礼をお許しください。ですがここで情けをかけたはあの男は出所した後にまた同じことを繰り返します。また同じように女性が傷つくでしょう」
「でも…これ以上どうしたらいいか」
「奥様は情愛が深い方なのですね」
「余計に許せませんね。そんな方をこれまで…」
私の事はいいのよ。
今はあの男をどうするかなのだけど。
「ここからの作戦を少し変更させ、あの男をより追い詰めたく思います」
「実行する者はこちらで手配いたします。ですからお任せくださいませんか?」
「解りました」
私の穴だらけの計画よりも確実だと思った。
でもその計画の詳しくは聞かなった。
まさかあんな惨い事になるとは夢に思わなかったのだ。
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