義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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172糾弾

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ジョイルが頻繁にこの孤児院を視察していたのは子供達の様子を見る為ではない。


「あの‥もしや食料の追加に関してでしょうか?」


「ええ、孤児院の援助に関しては責任者は私ですので」


院長は私を伺うような表情を見せる。

「以前から食料が足りず、小麦粉を増やして欲しいと聞いてますわ」

「はい、うちの孤児院は子供の数が多くて」

「ですが、数に関してはそこまで変わらないと思います。隣町の孤児院の方が数は多いようですが、十分賄えています」

「うちは男の子が多いですから。隣町は女の子が多く‥そこまで食べないでしょう」

男女で食欲の違いはあれど、年齢的な事を考えても三倍も増やすのはおかしい。

「食堂を案内してくれるか」

「えっ…」

「実際量を見て確認したい」

エレンディス様の言葉に僅かにニヤリと笑う院長。


私達は食堂に案内されるとふと気になったのが容器だ。
隣町の施設では木造で作った容器を使っているのに対してこの容器は…


「失礼」

エレンディス様が容器に触れる。

「随分と従来の物と違うな」

「はい、こちらの方が持ちやすいので」

容器に触れるとからくりに気づく。
この容器はそこがへっこんでいるのだ。

「最近は物価の高騰で野菜を買うのも一苦労です。故に…」

「それは大変だな」

シチューを入れている容器にも触れるて解った。

「この容器は随分重いようだな…普通の容器よりも」

「は?」

「グラムを図るとプラスチックで作られた者よりも随分思い…孤児院ではシチューやスープの量はgで図っている。その記録も提出させている…容器だけの重さでは計算が合わない」

「ならば鍋に残っているはず」

「そんな!」


冷や汗を流す院長を見て気づく。


「奥様何を!」


パンを手に取り割ると中はスカスカだ。
しかもカビが生えていると見た。


「エレナ!」

「はい!」

傍に控えているエレナに命じて私は調べさせた。


「何をする気です!」

「このパンは既に何日も過ぎている物だわ。食べられない…」


「そんなはずは」


私の読みが正しければ――。


「奥様、裏の倉庫に大量の小麦粉を売りさばいた証拠が見つかりました」

「裏帳簿も!」

「そういうことね?」


「何かの間違いです…そんな!」


この孤児院は子供達の食べる分を極端に減らし食べられないパンを提供し、他のパンは売りさばき。
支給した食料は高値で売りさばいていたのだ。


「これは犯罪ですわ。早々に騎士に引き渡します」

「そんな…ご慈悲を!」


ジョイルはこれを調べていたのね。
だけど、エセルバートがジョイルに対して暴行を加えた理由にならない。

となると裏取引をしている連中と深くかかわっている事になる。


そんな中、私達は詐欺グループのリストを入手した。


その中に仲介者のリストには…


「あの男!」

「なんて恥さらしなの!」

エセルバート・ホースと書かれていた。
家名は違うけど写真は間違いなかく、孤児院を使った悪徳商売をしている事が解った。


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