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158全てに支えられて
しおりを挟む私はずっと一人で歩く事をしていなかった。
だから今度こそ自分の足で歩いて、一人で戦わなくてはならない。
「エレナ、ごめんね」
「奥様…」
「ずっと貴女に頼ってばかりだった…カスティージョに来て私は貴女やジョナにジョイルがいたから生きてこれた」
あの場所で元気でいれたのは。
何時も私を支え元気づけてくれた彼等がいたから。
「でもこれ以上彼等を野放しにできない。元より話し合いなんて無意味だわ」
「でしたら何故…」
「話し合いの場を設けたという事が必要なの」
あの二人の妄言に手を焼いている側は私にも責任がある。
そう片付ける事で厄介事を私に…いいえ、ハイアット家に押し付けようとしている。
今ではハイアット家では医療の最先端だ。
勲章も授与して領地も広がっているけど恩賞は断り、その見返りに騎士団や貧しい街に寄付している。
その事でハイアット家は更に評価され注目を浴びている。
それを良く思わない連中が考えるのは単純だわ。
「普通に考えれば何故ハイアット家に手紙を出すの?」
「では…」
「恐らくこれを機会にハイアット家の名前に泥を塗る気でしょう。私が強く出れない事を良いことに…随分と馬鹿にされたものね」
「何て恥知らずな真似を!」
私は、これ以上ハイアット家に迷惑をかけたくない。
そして私自身もこのままでいいわけではないわ。
「エレナ、私を信じて…今の私を」
あの頃の私は本当に何も解っていなかった。
ただ耐えればいい。
何時か解らってくれると。
全ての人と解り合えるなんて夢物語を信じていたのだから。
「今の私はあのころとは違うわ。もう大丈夫よ」
「お一人で行かれるのですね」
「ええ」
「本当は行っていただきたくありません」
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女性でありながら騎士道を貫いたのだから。
「私を信じて待っていて」
「エレナ。もう無理だ」
「旦那様…」
私の肩を優しくポンと叩くエレンディス様。
きっとこの場にいる全員が理解してくれたのだろう。
一度言い出したら私は聞かない頑固さがある。
今回ばかりはどうしても譲ることができなかったのだから。
絶対に引けなかった。
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