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157仲介~侯爵夫人side
しおりを挟むアリアの思いを知り私はその足でアリアと一緒にハイアット家に向かった。
恐らく…というか、絶対に彼等は反対するのは解りきっていた。
「絶対に反対です」
「今さらです!」
私の想像をまるで裏切る事はなかった。
まぁ、私もその気持ちは解るけど。
「今さら面会なんて」
「面会するだけ無駄ですわ」
特に酷いのは言うまでもない。
侍女だった。
「今さら話し合いをしても無意味です。これまで話し合いの場を設けても自分の事しか言わない屑です」
「エレナ…」
「この話し合いも役人が奥様にあの二人を押し付けるか、弁護士が何らの思惑があるに決まってますわ」
「同感だ。行くことはない」
エレナの言葉に一番に賛同しているエレンディス。
過保護っぷりに磨きがかかっているわね。
「少し落ち着きなさいな。マヤ、お代わりを下さる?」
「呑気にお茶なんて飲まないでください」
「貴方は少し冷静に考えなさい。エレナ、貴女の行動は溺愛と同じですわよ」
「侯爵夫人…」
嫌な言い方をするけど溺愛っていうのは愛玩動物を甘やかして飼殺すような事を言う。
しっかりした教育を受けているエレナならばこの意味を知らないはずはない。
「そんなにアリアを信じられないのかしら?随分と信用がない事」
「そんな!」
「何故アリアが自分の足で歩こうとするのを止めるの?しっかり地に足をつけて歩こうとするならば止める権利はないわ」
なんて私も人の事を言えないわね。
私も少し前まで似たような事をしようとした。
でもこのままではダメ。
「アリアは冷酷になりきれない。だけどなって欲しくないと思ったわ」
「私は…奥様にこれ以上苦しんでいただきたくありません」
「もう少しアリアを信じてあげたらどうなの」
これでは平行線だわ。
彼女の言いたいことは十分解っている。
だけど完全な決別をするには本人の意思。
そして手続きに関しても代理人を立てる事は必ずしも良いとは言わないわ。
「なあなあにしている方が問題になるのよ」
「それは…」
「エレナ、貴女は騎士の娘故に貴族の性格を理解しているでしょう。法律も万能ではない事も」
私達でしてあげられる事には限界がある。
だけどアリアはそこまで弱い女性じゃないわ。
「今ここでアリアが自分でケリをつけないとあのクズは調子に乗るわ。ここで徹底的に潰すべきなのよ」
「侯爵夫人…奥様は」
「アリアは決断したのよ。ならば侍女として支えるべきではなくて?」
あの魔の巣窟で堪えぬいておいて弱いはずはない。
不屈の精神を身に着け、賢く立ち回る手段を身に着けたのだから。
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