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154女主人として
しおりを挟むそれから一週間。
私への手紙をエレナ達は処分し続けていた。
「いい加減面倒だわ」
「そうね」
「大体、紙も封筒も無駄だわ」
日に日に目つきが酷くなりジョナは疲れた表情をしている。
当然と言えば当然かもしれない。
手紙の内容は陰湿的で何処までも私を侮辱する内容だった。
「アリア、何時まで無視を決める気なの?保釈金を早く支払いなさい。こうなったのは全てお前の所為なのよ。お前がいたらないから…何これ」
「こちらも…許してあげるんだから早く助けなさいよお義姉様…既に他人なのだどけ」
二人は手紙を読み上げながらも手に力が籠っている。
本当に自分で自分の首を絞めているわね。
普通考えなかったのかしら?
私に手紙を出したとしても通常なら確認をするだろうし。
大事な取引先のお客様ではない限り使用人は危険がないか確認する。
しかもカスティージョ家の人間ならば…
「中を見るはずだわ」
もし私が逆の立場だとする。
エレンディス様に酷い仕打ちをした人からの手紙を受け取ったらまずは危険がないか確認して義母と義兄に相談を持ち掛けるわ。
なのに彼女達はエレナとジョナの性格を熟知しているならば解らなはずがない。
「奥様?」
「マヤ…」
「顔色が悪いですわ。お休みください」
家事を終えたマヤが声をかけてくれた。
「ハーブティーです」
「ありがとう」
マヤは最年少でありながらジョイルの教育の賜物なのか、今ではハーブの扱いは彼女に任せている。
お茶を淹れるのも本当に上手になったわね。
「奥様、どうなさったのです」
「え?」
「ここ数日ため息が増えまして‥何か悩み事が御座いましたらおっしゃってくださいませ」
ああ、私よりもずっと年下のマヤにまで心配をかけているなんて。
「実は友達の事なのだけど」
「はい」
「その友達が解れた旦那様のご家族の事で悩まれているの」
うん、友達を装って相談してみよう。
私の悩みだと言えば後から大騒ぎになるのは目に見えている。
特にジョイルの耳に入るのはよろしくないと思ったのだ。
「…そのご友人はちゃんと言うべきです」
「え?」
私の友人の悩みだと、ある程度誤魔化して相談した。
牢屋に入れられた事は言わず、離縁した後に生活が苦しく、生活費を仕送りしろと言われている事や、家が困窮した原因は妻にあると言われ続けている事を。
するとマヤははっきりと告げたのだった。
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