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149もう一度ゼロから~エセルバートside
しおりを挟む感染病が治まった頃、僕達は療養所から追い出された。
「何だ!」
「お前をこれ以上留め置く理由はない。特に犯罪者の二人だ」
騎士が現れ、メリッサと母上を拘束した。
「何をするの!」
「無礼者!私達は病み上がりなのよ」
薬のおかげですっかり元気になったメリッサと母上は大騒ぎをしていた。
梅毒から発生した病の所為で僕達は既に帰る家もない。
元から財などなかったが、最後に残った領地に馬や馬車まで奪われて本当にすべてを無くしてしまった。
病気の父上は別の療養所に移されることになった。
既に僕達の顔も覚えていない、記憶もほとんどなくなり自分が誰かも解らない。
僕もあんな父親は邪魔なだけだ。
世話なんてしたくないし、好きでしていたんじゃない。
遺産を引き継ぐために仕方ないから。
金もないし住む場所もないから我慢をしていたのに。
最悪だ。
だが、あの二人と縁を切れるならまだいいと思った。
僕一人ならばやり直しができると思った。
これまで足を引っ張られたのだから。
「どうして私達が」
「そうよ!」
拘束された二人はギャアギャア叫ぶ中一人の男が書類を見せつきけたのは…
「メリッサ・カスティージョ。お前は過去に梅毒をふりまき薬品を利用して多くの人間の人生を壊した」
「その母親も同罪の罪を犯し、他にも有罪になる事件を数多に引き起こした」
罪状を上げればきりがないが全て時効のはずだったが唯一時効になっていないのはアリッサの虐待に関しての事だった。
「そんな…アリッサの事は!」
「公的機関からの証拠品、発言で有罪は明らかだ」
牢屋に入れられた後にどうなるかなんて僕は知らない。
これでこの二人と縁を切ることができる。
そうだ、僕の人生を狂わせたのはこの二人なのだから。
「さぁ入れ」
「ぐずぐすずるな!」
強引に馬車に放り込まれた後も二人は叫び僕に罵倒を浴びせていた。
「この薄情者!自分だけ助かるなんて」
「エセルバート!メリッサはいいから私だけでも…」
「ちょっとお母様!それでも母親なの?娘の為に犠牲になるぐらいできないの」
「黙りなさい。お前のような出来損ないは私の娘じゃないわ!」
僕はこれ以上聞いていたくなかった。
聞くに堪えなかったので耳を塞ぎ背を向けその場を去ろうとするも二人の罵倒は続くが、聞くだけ無駄だった。
もう一度やり直せる。
最初からやり直せると思ったんだ。
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