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140最悪の事態~エセルバートside②
しおりを挟む「感染だ!」
女が叫び距離を取る。
メリッサは再び嘔吐を続ける。
「早く隔離しないと病が…早く離れないと」
「ちょっとアンタ何してんだい!病人のお父さんと隔離しないと」
女達は真っ青になりながらその場を出て行った。
「他の皆に伝えるんだ」
「隔離だ!」
また余計な事を。
これ以上我が家の噂が広まったらどうなるか。
「うっ‥おえぇぇ!」
「ちょっとエセルバート!なんとかしなさい」
「知るか!それよりも汚い汚物をまき散らすな」
もし病気だったとしたら僕にも感染するかもしれない。
近づかない方がいい。
「母上も感染しているかもしれない」
「何を…」
「この部屋からでないでくれ」
「ちょっと!」
僕は部屋に鍵をかけて出て行った。
ドンドン!
「エセルバート!気でも触れたの!ここを開けなさい!」
扉をドンドン叩く音がしたが、僕まで感染したら大変だ。
何の病気か解らないがあの女達の話では感染する可能性が高い。
窓を開けて換気して、食事は最低限運んでおけばいいだろう。
それに…
「いい気味だ」
これまであの二人の所為でどんな目に合ったか。
父上もこのまま死んでくれれば僕は晴れて自由の身になるし、少ないがこの家の残った金は僕のものになる。
病気になれば保険金もでるんじゃないか?
もしろいいことづくめじゃないか。
病気の噂は流れ、僕は役所に手続きに向かった。
保健も出るのであれば医療費も支給されるのではないか?
そう思ったが翌日。
「はぁ?ステイホーム?」
「感染した患者と同じ家に住まれている方は隔離をする事になっています。通常は療養施設に行っていただきますが、カスティージョさんは保険適用外になると同時にワクチンの提供はできません」
「は?何でだ!」
「貴方が加入されている保険は死亡保険です。納税も滞っているようですね」
「それは金が無くて…」
「ないから支払わなくてもいいはずがありません。療養施設にも入れない上は自宅から出ないように」
「じゃあその間の生活の保障は!」
「踏み倒しておれられるのでしたら…」
なんて奴等だ。
困っているのに助けようともしないなんて。
「とにかく自宅から出ないように」
「待て!」
役人はそのまま去って行く。
国から金が支給されると思ったのに当てがはずれた。
しかし僕の不幸は始まったばかりだった。
感染病の所為でメリッサの病気は感染病だけでは終わらなかった。
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