義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

文字の大きさ
138 / 196

137新たな命に乾杯~バルトside

しおりを挟む





落ち着かないエレンディスに呆れながらも見守り続けた。
アリアのお腹の子供は順調で医師からも予定通り出産すると聞いている。


「してエレナ、替え玉の準備はどうだ」

「滞りありません」


今危惧するのは平民となった馬鹿がアリアをどうするか。
どうせアリアが妊娠したら自分の子供だと馬鹿な事を言っているのだろうが。


「あの元夫、エセルバートと言ったか」

「名前を思い出すだけでも不愉快です」

「まぁな」


俺ももし妻の前の夫があんな最低野郎なら不愉快だが。


「だが良かったんじゃないか?」


「何がです?」

「バツ一ってのは外聞が悪い。だが白い結婚で尚且つ暴力良人で金の亡者で愛人を作り放題の種無し男なら周りは同情するだろう」

「えっ…」


「人は物語を望む。ハッピーエンドよりも悲劇の方が好まれる」


他人の不幸は密の味。
男尊女卑のこの世では男が堕落する様は女性の酒の肴として最高だ。


「社交界でアリアがのし上がる為に犠牲になってもらうんだよ」

「成程」

「それにあんな屑に嫉妬心を抱かないだろう」

「当然です」


俺から言うのもなんだが、頭の固さと正義感の塊であるエレンディスは中々の男だと思う。
まぁ少し馬鹿だが。


「夫婦生活は円満だ」

「はい」

「その一番の理由は、元馬鹿夫も影響している」

エレンディスは後悔していたはずだ。
あの時かけおちでもなんでもしてアリアを連れて逃げればよかったと。

だができなかった。
貴族で騎士である事もそうだが、社交界で糾弾されるのはアリアだ。

だからこそ見守る選択をしたのだろう。


その結果がこうなったが…ある意味いい方向に進んだ。


「アリアには悪いが、元馬鹿夫と一度結婚しているからこそ社交界でも評価された」

「そんな…あんまりです」

「だが、普通に円満な夫婦だったらどうだ?」


ここまでの演出があるからこそ周りはアリアに同情的で評価もされた。
まぁ夫婦関係が円満でも飼い殺しにされた状態だ。


あの母親と娘を切り捨てられないならな。


「俺はアリアを気に入っているんだ」

「奥様の薬草とお料理ですね」

「ああ」

「否定なさらないのですね」


アリアを気に入っているのは確かだ。
だが恋愛感情や女性を感じているわけではない。


まぁ俺のタイプとは真逆だし間違っても友人の妻に手を出す程女性に苦労していないし、そんな趣味はない。


「アリアと離縁になったらこんな美味い食事が食べられなくなる」

「それが本心ですか」

「悪いか?」

「いいえ」


エレナは中々いい性格をしているな。
アリアのような素直な女性かは嫌いじゃないが俺は気が強くやられたらやり返すような強い女性の方が好きなんだけどな。

しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

妹に婚約者を奪われた上に断罪されていたのですが、それが公爵様からの溺愛と逆転劇の始まりでした

水上
恋愛
濡れ衣を着せられ婚約破棄を宣言された裁縫好きの地味令嬢ソフィア。 絶望する彼女を救ったのは、偏屈で有名な公爵のアレックスだった。 「君の嘘は、安物のレースのように穴だらけだね」 彼は圧倒的な知識と論理で、ソフィアを陥れた悪役たちの嘘を次々と暴いていく。 これが、彼からの溺愛と逆転劇の始まりだった……。

成人したのであなたから卒業させていただきます。

ぽんぽこ狸
恋愛
 フィオナはデビュタント用に仕立てた可愛いドレスを婚約者であるメルヴィンに見せた。  すると彼は、とても怒った顔をしてフィオナのドレスを引き裂いた。  メルヴィンは自由に仕立てていいとは言ったが、それは流行にのっとった範囲でなのだから、こんなドレスは着させられないという事を言う。  しかしフィオナから見れば若い令嬢たちは皆愛らしい色合いのドレスに身を包んでいるし、彼の言葉に正当性を感じない。  それでも子供なのだから言う事を聞けと年上の彼に言われてしまうとこれ以上文句も言えない、そんな鬱屈とした気持ちを抱えていた。  そんな中、ある日、王宮でのお茶会で変わり者の王子に出会い、その素直な言葉に、フィオナの価値観はがらりと変わっていくのだった。  変わり者の王子と大人になりたい主人公のお話です。

冷遇する婚約者に、冷たさをそのままお返しします。

ねむたん
恋愛
貴族の娘、ミーシャは婚約者ヴィクターの冷酷な仕打ちによって自信と感情を失い、無感情な仮面を被ることで自分を守るようになった。エステラ家の屋敷と庭園の中で静かに過ごす彼女の心には、怒りも悲しみも埋もれたまま、何も感じない日々が続いていた。 事なかれ主義の両親の影響で、エステラ家の警備はガバガバですw

初恋の人を思い出して辛いから、俺の前で声を出すなと言われました

柚木ゆず
恋愛
「俺の前で声を出すな!!」  マトート子爵令嬢シャルリーの婚約者であるレロッズ伯爵令息エタンには、隣国に嫁いでしまった初恋の人がいました。  シャルリーの声はその女性とそっくりで、聞いていると恋人になれなかったその人のことを思い出してしまう――。そんな理由でエタンは立場を利用してマトート家に圧力をかけ、自分の前はもちろんのこと不自然にならないよう人前で声を出すことさえも禁じてしまったのです。  自分の都合で好き放題するエタン、そんな彼はまだ知りません。  その傍若無人な振る舞いと自己中心的な性格が、あまりにも大きな災難をもたらしてしまうことを。  ※11月18日、本編完結。時期は未定ではありますが、シャルリーのその後などの番外編の投稿を予定しております。  ※体調の影響により一時的に、最新作以外の感想欄を閉じさせていただいております。

婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました

日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。 だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。 もしかして、婚約破棄⁉

幼馴染が熱を出した? どうせいつもの仮病でしょう?【完結】

小平ニコ
恋愛
「パメラが熱を出したから、今日は約束の場所に行けなくなった。今度埋め合わせするから許してくれ」 ジョセフはそう言って、婚約者である私とのデートをキャンセルした。……いったいこれで、何度目のドタキャンだろう。彼はいつも、体の弱い幼馴染――パメラを優先し、私をないがしろにする。『埋め合わせするから』というのも、口だけだ。 きっと私のことを、適当に謝っておけば何でも許してくれる、甘い女だと思っているのだろう。 いい加減うんざりした私は、ジョセフとの婚約関係を終わらせることにした。パメラは嬉しそうに笑っていたが、ジョセフは大いにショックを受けている。……それはそうでしょうね。私のお父様からの援助がなければ、ジョセフの家は、貴族らしい、ぜいたくな暮らしを続けることはできないのだから。

[完結]だってあなたが望んだことでしょう?

青空一夏
恋愛
マールバラ王国には王家の血をひくオルグレーン公爵家の二人の姉妹がいる。幼いころから、妹マデリーンは姉アンジェリーナのドレスにわざとジュースをこぼして汚したり、意地悪をされたと嘘をついて両親に小言を言わせて楽しんでいた。 アンジェリーナの生真面目な性格をけなし、勤勉で努力家な姉を本の虫とからかう。妹は金髪碧眼の愛らしい容姿。天使のような無邪気な微笑みで親を味方につけるのが得意だった。姉は栗色の髪と緑の瞳で一見すると妹よりは派手ではないが清楚で繊細な美しさをもち、知性あふれる美貌だ。 やがて、マールバラ王国の王太子妃に二人が候補にあがり、天使のような愛らしい自分がふさわしいと、妹は自分がなると主張。しかし、膨大な王太子妃教育に我慢ができず、姉に代わってと頼むのだがーー

処理中です...