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126疫病神の元妻~エセルバートside①
しおりを挟む執行人の所為で邸を奪われ領地までも奪われた。
全てと言うわけではないが一番小さな邸は残ったが、執行人曰く。
「こんな邸、金にならないな」
「壊す方が金がかかる」
等と無礼三昧を言われてしまった。
「残りは労働で支払っていた来ますので。ああ、逃げようとしても無駄ですから」
「踏み倒せば罪になりますので…まぁ行く当てもないでしょうが」
何処までも性悪な連中だ。
住んでいた邸は取り壊され、服だってみすぼらしい物しかない。
「しかしこの植物図鑑は相当な金額になるが」
「回収は無理だな。元妻の私物ならば…」
そうだ。
図鑑だ。
執行人がここまで言うならば相当な金額になるはずだ。
「返せ‥」
「これはお前の物じゃないだろう。本来ならば本人に返さなくてはならない。これ程の高価な品ならば猶の事」
「は?そんな汚い図鑑が…」
他に品では売っても借金を返す事は出来ない。
しかしアリアの図鑑とレシピノートは邸を建てる程の金額だった。
「驚きだな。この図鑑はかなり古い。それに図鑑には王家も紋章が後から刻まれている。売るなんてできないだろう。国宝級の代物だ」
何だと?
あの汚い図鑑がそんな高価な物だったなんて。
「だったらそれは!」
アリアの物なら当然所有権はあるはずだ。
「馬鹿な事を考えるなよ。エセルバート・カスティージョ」
「何だと?」
「万一、妻が事故で亡くなっていた場合は所有権はある。しかし離縁の場合はその時点で所有権はない。離縁の後に財産の手続きをしていたのなら別だが」
「そんなはずはない!」
「貴様には何を言っても無駄だ」
そう言って執行人は去って行き、邸は壊され土地は他の人間の手に渡り、領地に帰ることになった。
しかし田舎で狭すぎる家出で窮屈な生活を強いられる。
それだけでは済まなかった。
父上はに病気で家族の名前すら解らなくなってしまった。
「誰だ貴様!泥棒か!」
「ちょっと貴方!」
「私の金がない!使用人の分際で盗むとは」
「私は使用人じゃないわよ」
「ちょっとお父様!」
あんなにも穏やかな父上は病で記憶を無くし行動が荒くなり暴力を振るうようになった。
母上の事も思い出せなくなってしまった。
「止めて!」
「泥棒め!出て行け!」
物を投げたり、杖で殴るの連続。
耐え切れず対抗したが、相手は病人だった事もあり近所の連中が。
「まぁ、なんて事を」
「病気の父親になんて酷い」
何も知らない第三者は無責任な事を言い放ち僕達を悪人に仕立て上げた。
今回の事だけじゃない。
例の一件もそうだ。
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