義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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120悶々する男~エレンディスside

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母上と大公殿下の計らいにより長期の休みを貰う事になった。
通常なら一週間程度までなのだが、これまで休み無しで働いてたので休暇が溜まっていた。


部下によると。

「この際、長期休暇を取って来てください」

「いや‥」

「その代わりしっかり男を見せてくださいね」

その意味はなんとなく察したが。

「いいですか、このチャンスを逃したらアウトです」

「あー…うん」

「いいですか!薬草師で調合師であるアリア様は黄金の女神です。しかも何処の世界に無償で薬を提供してくれる太っ腹な女性がいますか!」


私の一番の部下は上司思いであるが遠慮が無さすぎる。


「新婚旅行でしっかりお願いします」

「おい…」

その含みのある言葉に冷や汗が流れる。



しかし部下だけではなく。


「エレン、新婚旅行では上手くしているのか」


ゴンッ!


新婚旅行先の手配をしてくれた友人。

バルト・ステクス。
公爵家の子息でもあり、一時は我が国に留学をしていた。


「お前の初恋が叶って良かったな」

「知っていたのか」

「ハッ、俺を舐めるなよ。何だったらこれ使うか」

「いらん!」

媚薬を渡され私は直ぐに捨てた。


「バツあるんだろう?」

「夫婦の関係は冷めきっていた、義実家からも酷い仕打ちを受けていた」

「それでその弱みに付け込んだってか?」


くっ…否定できない。

「別に責めてねぇよ。ただ俺を呼んだ理由は何だ?」

「その、性欲抑制剤を都合してくれないか」

「は?」


アリアが部屋で休んでいるのを見計らってバルトを呼んだのはこのためだ。


「その…妻は清いままだったんだ」

「は?結婚して三年だろ?」

「男女の関係をちゃんと結んでなかったみたいだ…それで私は」


アリアは本当の意味で最後まで抱かれていなかった。
そのことが嬉しくて…それで私は無茶な抱き方をしてしまった。


「何だ、薬が必要って…お前理性強いだろ?」

「アリアの前だと我慢できん!」

「そんなに良かったのか?お前女苦手だっただろ?」

「ああ…」


幼少期セクハラまがいな行為をされたり誘拐されかけたりとトラウマになったのは数知れず。
だから女性と行為に及ぶことに興味がなかったのだが…


「アリアは男女の機微に疎いんだ!」

「お前が言うなよ!」

「自覚なしに誘惑して来るんだ!」


私だって鈍いだろうがそれに輪をかけて鈍いんだ。

「頼むバルト!」

「へいへい…解ったよ。いい薬がある」

「そうか」


だが私は知らなかった。
バルトが笑みを浮かべていた事を。
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