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119侍女の微笑み~エレナside
しおりを挟む奥様の初夜はどうあったかなんて聞くまでもない。
着替えのお手伝いをさせていただいた時に愛された証を見て笑みがこぼれる。
「エレナ…」
「ようございました。旦那様と上手くいって」
「うっ…うん」
純情可憐な奥様には刺激が強すぎたのかもしれない。
でもあの最低男が今まで奥様をどれだけ蔑ろにしたかと思うと嬉しくてたまらないわ。
「今日は念入りに体を磨かなくては…お体はお任せください」
「えっ…」
「嫌ですわ奥様ったら。新婚旅行中は…ねぇ?」
「まぁ、そうですわね」
私はジョナに視線を送ると少しだけ頬を赤くしていた。
旦那様はああ見えてロールキャベツ男子だわ。
普段は草食男子に見えて実はかなりの肉食だった。
奥様が清い体と知って理性を失ったのね。
でも私達からすれば喜ばしい事だわ。
「私…事情中に寝ちゃって」
「かなりがっつかれたのですね」
「エレナ!無礼でしょう」
解ってはいるけど、奥様は勘違いしているわ。
寝てしまったのではなく力の限り抱かれ続けて意識を手放したのね。
相当泊まっていたのか、それとも奥様が原因なのか。
前者か後者かと考えれば明らかに後者でしょうね。
「でも…私」
「大丈夫ですわ。すべて旦那様にお任せしたら良いのです」
ここまで初心になってしまったのはあの男の所為でしょうけど。
まぁ甲斐性のないあの男の事なんてどうでもいいわ。
「女は愛されてこそですわ」
「ええ」
新婚旅行中にお二人の距離がもっと縮まればいいと思う。
王都ではジョイル様が上手くしてくれているのだから。
「ですが受け身過ぎてはなりませんわ」
「ちょっと…」
純情な奥様には少しハードルが高いかもしれないけど、あれを用意しなくては。
「どうしたらいいの?」
「エレナにお任せください」
私はアリア様の専属侍女として精一杯の事をしなくてはならないわ。
男女の機微に疎い奥様の為に最終兵器を用意すべく私はお二人が観光に行かれたと同時にとあるも店に向かいあるものを手に入れた。
「エレナ、少し刺激が強いのではない?」
「いいえ、これぐらい当然です。少し冒険しないと」
察するに旦那様は夜になると狼になる。
まぁ男は欲望と本能で出来た獣のようなものだけど、刺激を与えればどうなるか。
「この新婚旅行が勝負なんです」
「気合入り過ぎじゃないかしら」
ジョナは呑気に構え過ぎだわ。
王都に戻りあの馬鹿が接触してこないとは限らない。
まぁ、接触しても何もできないけど。
変な噂を流し奥様を傷つけるかもしれないからこそ、隙を作らないようにしなくては。
その為に私が一肌脱がなくては。
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