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111消えた元妻の行方~エセルバートside①
しおりを挟む探偵を雇い、アリアの居場所を探させた。
「奥様の邸は既に売られておりました」
「は?」
「既に他の商人が買い取ったと」
「だったら何所に!」
ただでさえ金がない中で雇った探偵はまるで役に立たなかった。
「王都内にアリア・フリーシアという女性は存在しません。役所で調べてもらいましたが」
一応表向きは離縁しているから旧姓に戻ったと思い、調べさせるも該当する人物はなかったと。
馬鹿な…
離縁した女は出戻りなんてしても居心地が悪く厄介者扱いをされるだろう。
王都を出るには船を使わなくてはならい。
無一文で出て行ったアリアにそんな金はないし、ジョイルが金銭的に手助けをしていたとしてもだ。
邸だって、商業ギルドやプルメリア商会に泣きついて涙ちょうだいで譲られたようなもの。
世間の同情を買って生きているのだろう。
ロベスペール侯爵夫人もアリアに同情して慈悲を与えていたのだから。
アリアは一人では何もできない。
薬草だって、祖母から与えられた知識をそのまま使っただけ。
誰かに依存してしか生きていけない。
そうだ、僕がいないと何もできない。
ただのアリアを必要している人間なんていないのだから。
そう思っていたのに。
「一応調べましたがアリアという女性は王都内でも現在百人はいるでしょう」
「馬鹿を言うな」
そのアリアという名前の女全てを調べていたら時間がない。
「該当しないとなれば再婚、もしくは養女に出された可能性を考えるべきでは?」
「ハッ、貴様は探偵の癖にそんなことも解らないのか」
百姓貴族の娘でしかないアリアを欲しがる貴族がいるものか。
養女に出すにしても、付加価値が無さすぎる。
フリーシア伯爵家は裕福ではないし、出戻りを許すとは思えない。
特に祖母が厳格で外聞を気にする血も涙もない老婆だ。
孫の嫁ぎ先が没落しかけている中に資金援助もしなかったのだから。
離縁した事も行く知らずの事も報告していないから知るはずもない。
言えば後から厄介な事になる。
元舅は体が弱く、何かあれば面倒だし、薬草を都合してもらえなくなる。
「何とか…何とかしてジョイルを見つけなくては」
正規の探偵を雇う金がないから三流の探偵を雇ったが間違いだったとは。
「とにかく金を払ったんんだ。何とかして居場所を…」
「でしたら延長料金を」
「ふざけるな!真面な仕事もできずに延長料金だと!」
「では、これ以上の調査はできません」
「おい…待て!」
仕事を放棄した探偵を勢いでクビにした事でアリアを探す道は閉ざされてしまった。
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