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109害虫計画~侯爵夫人side①
しおりを挟む「遅れてすまない」
「いいえ、時間ピッタリですわ」
その日人目を忍んで別邸で大公殿下を招いていた。
勿論二人きりではなく夫と侍女に、私の協力者も数名いるのだけど。
「ご協力いただき感謝いたします」
「何、可愛い義娘の為だ」
「こちらも手筈は整っています。お忍びで出国できる用意しておりますので」
ロベルペール侯爵が船の手筈と万一の為にダミーを用意してくれている。
「それで馬鹿達の行方はどうですか」
「ええ、血眼になって探しているようです。馬鹿な男です事」
「妻の行方を探してると…お涙ちょうだいの演技をしていましたが。大根過ぎますわ」
あの馬鹿の事だから離縁は止む無くしたのだとか、借金取りから逃がす為だとか、実家から脅されたとか色々と触れ回っているようだが聞くはずもない。
だってこれまでアリアの実家は口出しをしなかったのに今さら口出しするのはおかしいわ。
既に社交界で信頼を失っているのに、今さら耳を貸す事はない。
「本来なら早々に孫の件を公にしたいのだが、事を急いではならないからな」
「一度にするよりもじわじわ責めるべきです。現在児童保護団体が動き虐待に関する証拠をつきつけています。ですが証拠としては甘い」
「例えるならば浮気現場を写真に収めるぐらいしなくてはなりませんもの」
「奥様…」
ロベルペール侯爵夫人も離縁する為に色々苦労されたのだろう。
現在は正式に離婚して夫を放り出したようだけど、既にロベスペール家の主は彼女だから当然だわ。
「色々調べましたが愛人にも見捨てられて、既に誰からも相手にされないようですわ」
「流石ですわ。いい仕事をしてくださいますわ」
「当然ですわ」
ロベスペール侯爵夫人の調べによると借金取りが押し寄せてきて借金を返す見込みがない以上は命を狙われるだろう。
「借金取にはアリアとは復縁すると狂言を」
「名誉棄損で訴えられますわよ。私なら訴えます」
「本当に気持ち悪い男。散々アリアを利用してズタボロ状態にした癖に」
私が何も知らないと思ったら大間違いだわ。
「今週になって三通も来ていますわ」
「私も昨日にまた来ましたわよ」
本当に何処まで図々しいのかしら。
婚約前から私がアリアを可愛がっているのを知っているなら言うわけないのに。
手紙の内容も酷い物だったわ。
私がさもアリアを誘拐して監禁しているかの内容だったのだから。
この私を侮辱した罪は重いわよ。
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