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108嬉しい結果~侯爵夫人side
しおりを挟む「私の読みが当たって良かったわ」
私は医師から見せられた診断書を見て笑みを浮かべた。
「またあくどい表情を」
「嫌ですわ。でも、今日は機嫌がいいので聞かなかった事にして差し上げます」
診断結果を見て私は再び笑みを浮かべる。
ある程度は覚悟を決めていると言っているエレンディスだけど、アリアを見る限りなんとなく察していた。
「しかし、アイツは何処までもアリアを侮辱し蔑んでいたんだ」
「所詮は母親の手から逃れられなかったのでしょう」
でも、今は感謝しているのだけどね。
あの馬鹿が甲斐性無しで、アリアを妻として大事にしていなかったのだから。
「アリアの体は清いままというのは喜ばしいのだろうが…初夜は」
「ちゃんとできていないのでしょう。抱こうとしましたが最後までしていない。馬鹿な男」
「これ、そんな物言いは」
第一初夜の一回で事を全て済ませられる人とそうではない人がいる。
あの男は前者か後者か問われれば明らかに後者だわ。
まぁ、邪魔も入ったのでしょうね。
それがこの結果を生んだのです。
「なんというか…」
「その後、アリアをほったらかしにしたのでしょう」
「当初はちゃんと夫婦に見えたのだが、何時の日か愛人を侍らせていたからな」
「女遊びを知ったのでしょう。本当に不愉快な男。殺してやりたいですわ」
普通に殺すだけでは許せない。
アリアが受けた屈辱を考えると死ぬよりも惨い仕打ちがお似合いだわ。
「それで、エレンディスに教えてやったのであろうな」
「いいえ」
「は?」
教えるわけないでしょう?
既にエレンディスは勘違いをしているのだから、ここは男を見せて貰わないと。
「しかしだな…」
「例え他の男に抱かれてもアリアへの愛が変わらないなら問題ありません。いざ初夜を迎えた時に知るでしょうね」
「鬼か…」
「うふふ」
この程度の意地悪ぐらい許して欲しいわ。
そのもそ私はエレンディスにもっと頑張ってアリアを奪って欲しかったのだから。
でも、アリアを思えばこそだったから強く言えなかったわ。
それに寄り道をしても二人はこうして一つになることができたのだけど。
「奥様、またカスティージョ家から手紙が」
「燃やしなさい」
「かしこまりました」
私は二人が新婚旅行中にあの馬鹿を誤魔化す事に専念しなくてはならないわ。
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