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105見守り隊~侍女長side①
しおりを挟む私の名前はモンロー・スタシア。
ハイアット家に長らく使え、乳母を務めて参りました。
もう老いた侍女。
ですが奥様は次男であるエレンディス様の行く末を心配しておりました。
恋も結婚もしないで独身を貫き騎士として生きて騎士として死ぬ。
何とも悲しい事でしょう。
何より問題はアレンディス様が結婚する意志がまるでないのです。
辺境伯爵家の御長男でありながら王立師団に所属し、大変優秀でいらしたのですが。
その所為で成人前からハイエナのように群がる女性を敵視していたのです。
跡継ぎに関しては旦那様も奥様も無理強いしませんでした。
…というか無理なのです。
あの方は潔癖症で女性と穏やかに会話?
そんなことができるはずもありません。
口を開けば政治の話ばかりでは滅入ってしまいます。
対する次男のエレンディス様はまだマシでしょうが…
幼少期の頃に騎士になる事を夢見ていらしたので奥様がため息をついておられたのです。
ですが女性に興味がないわけではございません。
聞けば幼少期にあるご令嬢に懸想したとか。
しかし神は残酷でした。
既に他の男性と婚約している令嬢。
エレンディス様のお気持ちを考えると悲しくて仕方ありません。
ですが天は味方をしてくださいました。
その方はあのカスティージョ家の生贄に差し出されたとか。
ご実家は百姓貴族故に断れず、カスティージョ家は困窮している家を建て直す為だけに娶り、挙句の果てには使用人以下の生活を強いていたとか。
こんな非道が許されるわけがありません。
しかし調べたところアリア様は大変健気な方でした。
第三者から見ても離縁されるのは時間の問題。
後見人にシャドール侯爵家がついているなら離縁も可能と思いきや、あの馬鹿家族は健気な嫁を捨て早々に逃げて借金を全てアリア様に押し付けたそうです。
社交界でも苛め倒され生活も平民以下。
こっそり見た服もなんて貧相で酷いのでしょうか。
子供を持つ身としては涙が流れました。
なのになんて意地らしいのでしょう。
私は同情しました。
あそこまで義実家に尽くしているのに誰にも顧みられることがない。
なのに常に笑顔。
「ああ…なんて事なの」
「奥様…」
「これでは離縁に持ち込めないではないの?あの甲斐性無しが既成事実なんてできないだろうし」
「ええ」
こう申して何ですが、エレンディス様は純情すぎて押しが弱い方です。
だからこそ私は影でこっそり動く事にしました。
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