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100影~エセルバートside
しおりを挟む悪徳商人のレッテルを貼られた後、僕達は貴族だけではなく格下の平民にまで見下され罵倒を浴びせられるようになった。
昼間、外に出れば冷たい視線を受け。
邸にいても石を投げられ、外に出るのも危険で。
外に出るのは夜だった。
「お兄様の所為で舞踏会にもいけなくなったわ!」
「お前はなんて事をしてくれたの!外に出れば蔑んだ目で見られ平民にまで見下されているのよ!」
何かあれば全部僕の所為。
借金が膨れ上がり、このままでは没落するのでなんとか立て直そうと思って必死に頑張って来たのに。
こんな言い方あんまりだ。
「このままじゃ領地に戻らなくてならなくなるじゃない!嫌よ…あんな田舎に」
「あんな貧乏くさい田舎に戻って貧乏な暮らしなんて」
二人にとって領地は何もない田舎だ。
僕だってあんな場所に戻るなんて絶対に嫌だった。
「カスティージョ!出てこい!」
「借金を返せ!」
「これ以上だんまりを決めるなら出る所に出るぞ!」
だがこのままでは借金取りにどんな目に合わされるか解らない。
「きゃあ!お兄様なんとかしなさいよ!」
「また石を投げられたわよ!」
文句しか言わない二人にイライラしながら割れた窓ガラスから新聞が飛んで来た。
「ちょっとお兄様!」
「何だ…アリア?」
見開きになった新聞にはアリアが写っていた。
「救国の聖女誕生…命の現場に奔走するランプの天使?」
「ちょっと何よこれ…何でアリアが」
新聞には僕が悪者のように書かれ、アリアが救世主のように書かれていた。
「しかも国王陛下から直々に恩賞を授かった…何で」
「ランプの天使が生み出した奇跡ですって?」
「国王陛下から勲章が与えられるなんて」
こんな事信じられない。
いかにアリアがが薬草に詳しくてもこんな事できるはずがない。
何より僕は作った薬の方が優れているはずだ。
なのに…
僕はこんなにも苦労しているのに何故アリアは不幸じゃないんだ?
邸から追い出され離縁され、不幸になっているかと思った。
それで反省して頭を下げて戻って来る。
そうすればプリメラ商会も僕に謝り援助すると思っていたのに、その本人は以前よりも美しく輝いていた。
「こんなの…ありえないだろ」
何もできないアリア。
ただ僕の言う事だけを聞いて素直だったのに。
どうして…
「きゃああ!」
「壁が!」
絶望する中、壁がぶち破られ借金取りが強行突破をして来た。
「カスティージョ!」
沢山の借金取りが僕を囲んで来た。
このままでは殺される。
そう思った僕は咄嗟に告げた。
「僕の妻はランプの天使だ!」
そうだ。
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僕達がこんな思いをしている責任はアリアにある。
そう思いある方法を思いついた。
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