義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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努力が実を結び、例の薬の被害にあった人は救う事がでいたけど、救えなかった命も多くある。



「出来る事とできない事がある」

「団長さん」


「残念だが…それでも救えた命もあっただろう」


それでも悔しい。
もし新薬をちゃんとした方法で売っていればと思うと。


「侯爵夫人は現在奔走し、王都内の薬屋に薬師を配置するように働きかけておられる」

「ですが…」

難しいと思う。
一般の薬師は簡単な薬草の知識はあれど、薬の効果の全てを把握できているの少ない。


全ての薬屋に置くなんて無理があるわ。

「それからメラミン病のような死にいたる病の薬には安全性がない場合は売りさばけないように商業ギルドに協力してもらう事になった」


「ただし、それでも悪徳商人のような連中は金儲けの為に売るだろう」

「ええ…」

正規で売られている薬よりも価格が安いなら飛びついてしまう。
でも、それで死んだら意味がない。


「ただ、薬は一度飲んだ程度では効き目がありません。飲み続けなくてはなりません」

「ならばやはり、法律で厳しく取り締まるか…あるいは」

「ある程度の知識…」


いや、知識をつけるにも長時間の勉強が必要になる。
私達のスキルを昨日今日で身に着ける事は出来ないし、かといって正規の薬師を増やす事は難しい。


せめて薬草に詳しい方がいれば…


「今の情操教育では薬草を学ぶ場はないからな。三十年以上前はそういった教育もしていたそうだが」

「三十年前…」


待てよ?
正規ではなく現役を退いた薬師…

特に薬草師の方を派遣するのはどうだろうか?
そして傍について若い薬師に指導をしてもらうのだ。


地方では現役を退いた薬草師はいる。
ただし長時間働けない為に雇ってもらえないのが現状だわ。


「団長さん、私に考えがあるのですが」

「何だい?」


「採用されるか解らないのですが」


このまま薬師を置かないで薬を売るのは危険だわ。
それに庶民の皆さんは薬の相談をする人もいないんじゃ素人療法なんて危険な真似をするのだから。



けれど私の不安とは裏腹に。


「アリア、すんなり許可が下りたぞ」

「え…」


団長さんにお願いして文官長があっさり許可を出したそうだ。


「現役を退いた薬草師、調合師なら安く雇える。尚且つ安い賃金で医師や薬師を教え導けると」

「金銭的な事ですか」


国の財政が芳しくないというのは知っていたけど。

これで一つ問題は解決した。


でもまだまだ問題は多いけど。


けれど私は確実に光の元に足を進めていた。
その一方で光があれば影がある。

日陰にいる人物を私は知らなかった。


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