義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

文字の大きさ
上 下
93 / 196

92愚か者の悪あがき~エセルバートside①

しおりを挟む




傾いた家を何とかする為に藁をも掴む思いでアリアの薬草で新薬を考えた。
他人と同じことをしていたのではだめだ。


現在メラミン病が再び伝染し始めている村がある。
だから新薬を作り、通常の家格の半額で売買をする事で一時は商売が軌道に乗ると思った。



なのに…


「息子が死にそうです」

「私の妻は失明してしまいました」

「私の夫は副作用で…」


最初こそは上手く行っていると思った。
レシピがあれば僕でもできるはずだ。

アリアにもできたんだ。
僕に出来ないはずはないと思ったし、調合なんて簡単だと思った。


だが、調合して見たがレシピ通りにいかない。
色が少しおかしいが大丈夫だろうと思い村に売り出し、成果はあった。


だからその隣の村や、その後は町にも売り出した。

しかし二週間後、僕の作った薬を服用した患者が死んだ。


「絶対に安全だって言ったのに!」

「薬にある程度の副作用がでるのは当然だ!」

「死ぬような事はないって言っただろ!」

「大体飲み続けないと治らないと…」


僕は悪くない。
薬に体が合わないだけだ。

死んだのだって僕の所為じゃない。


「ただ息子の体が弱すぎたんじゃないか」

「は?」

「僕は薬を安く売ってやったんだ…副作用で死んだとしても僕は悪くない!どうせ死ぬはずだったんだ!感謝されこそ恨まれるなんておかしい」


そうだ…


僕は悪くない。

病気になって絶望している中救いの手を差し伸べてやったんだ。


飲んだ後の事まで責任を持てるか。


「信じられない…」

「何て非道な」

「最初から粗悪品で金稼ぎをするつもりだったの!」


勝手に勘違いして被害妄想の末に僕に責任を擦り付けて慰謝料を欲している魂胆が丸見えだ。


だが悪いのは僕じゃない。
第一薬の副作用でなくなる間者なんて医療の世界では多く存在する。

手術中に事故が起きる事だって。



「カスティージョ伯爵、貴方はちゃんとした署名に薬の危険性を説明していたなかったと聞いています」

「ある程度の危険は承知だろう」

「同意書は?」

「そんなもの不要だ」


手術をするわけじゃないのに誓約書も必要ない。


「間に仲介者を挟んでいないのに?」

「そんなもの要らないだろ」


「話になりませんね。貴方がしたことは犯罪です。新薬を作り商品化するには決まりごとがある。それを破るのは罪です」


さっきから何を言っているんだこの老婆は。


訴える連中と違って一定の距離をで僕を見る老婆。


「新薬は専門家とそれを売る商人ともう一人医師の証明書が必要です。治験の場合は同意書と危険を説明しなくてはならないのにそれを怠った時点で犯罪です」


年寄りの老害か。


この時僕は無理矢理そいつらを追い出した。


その結果。


「何故新聞に!」

僕が詐欺を働き患者を死なせたことが報じられていた。


しおりを挟む
感想 478

あなたにおすすめの小説

拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜

みおな
恋愛
 子爵令嬢のミリム・アデラインは、ある日婚約者の侯爵令息のランドル・デルモンドから婚約破棄をされた。  この婚約の意味も理解せずに、地味で陰気で身分も低いミリムを馬鹿にする婚約者にうんざりしていたミリムは、大喜びで婚約破棄を受け入れる。

【完結】義姉の言いなりとなる貴方など要りません

かずきりり
恋愛
今日も約束を反故される。 ……約束の時間を過ぎてから。 侍女の怒りに私の怒りが収まる日々を過ごしている。 貴族の結婚なんて、所詮は政略で。 家同士を繋げる、ただの契約結婚に過ぎない。 なのに…… 何もかも義姉優先。 挙句、式や私の部屋も義姉の言いなりで、義姉の望むまま。 挙句の果て、侯爵家なのだから。 そっちは子爵家なのだからと見下される始末。 そんな相手に信用や信頼が生まれるわけもなく、ただ先行きに不安しかないのだけれど……。 更に、バージンロードを義姉に歩かせろだ!? 流石にそこはお断りしますけど!? もう、付き合いきれない。 けれど、婚約白紙を今更出来ない…… なら、新たに契約を結びましょうか。 義理や人情がないのであれば、こちらは情けをかけません。 ----------------------- ※こちらの作品はカクヨムでも掲載しております。

冷遇する婚約者に、冷たさをそのままお返しします。

ねむたん
恋愛
貴族の娘、ミーシャは婚約者ヴィクターの冷酷な仕打ちによって自信と感情を失い、無感情な仮面を被ることで自分を守るようになった。エステラ家の屋敷と庭園の中で静かに過ごす彼女の心には、怒りも悲しみも埋もれたまま、何も感じない日々が続いていた。 事なかれ主義の両親の影響で、エステラ家の警備はガバガバですw

手放したくない理由

ねむたん
恋愛
公爵令嬢エリスと王太子アドリアンの婚約は、互いに「務め」として受け入れたものだった。貴族として、国のために結ばれる。 しかし、王太子が何かと幼馴染のレイナを優先し、社交界でも「王太子妃にふさわしいのは彼女では?」と囁かれる中、エリスは淡々と「それならば、私は不要では?」と考える。そして、自ら婚約解消を申し出る。 話し合いの場で、王妃が「辛い思いをさせてしまってごめんなさいね」と声をかけるが、エリスは本当にまったく辛くなかったため、きょとんとする。その様子を見た周囲は困惑し、 「……王太子への愛は芽生えていなかったのですか?」 と問うが、エリスは「愛?」と首を傾げる。 同時に、婚約解消に動揺したアドリアンにも、側近たちが「殿下はレイナ嬢に恋をしていたのでは?」と問いかける。しかし、彼もまた「恋……?」と首を傾げる。 大人たちは、その光景を見て、教育の偏りを大いに後悔することになる。

【完結】婚約破棄の代償は

かずきりり
恋愛
学園の卒業パーティにて王太子に婚約破棄を告げられる侯爵令嬢のマーガレット。 王太子殿下が大事にしている男爵令嬢をいじめたという冤罪にて追放されようとするが、それだけは断固としてお断りいたします。 だって私、別の目的があって、それを餌に王太子の婚約者になっただけですから。 ーーーーーー 初投稿です。 よろしくお願いします! ※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

不遇な王妃は国王の愛を望まない

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。 ※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり(苦手な方はご注意下さい)。ハピエン🩷 ※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲

悪役令嬢は処刑されないように家出しました。

克全
恋愛
「アルファポリス」と「小説家になろう」にも投稿しています。 サンディランズ公爵家令嬢ルシアは毎夜悪夢にうなされた。婚約者のダニエル王太子に裏切られて処刑される夢。実の兄ディビッドが聖女マルティナを愛するあまり、歓心を買うために自分を処刑する夢。兄の友人である次期左将軍マルティンや次期右将軍ディエゴまでが、聖女マルティナを巡って私を陥れて処刑する。どれほど努力し、どれほど正直に生き、どれほど関係を断とうとしても処刑されるのだ。

処理中です...