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75手続き
しおりを挟むジョイルに任せ手続きを済ませ、怪我が治るまでの間は私の元で静養する事になった。
「まんまぁー!」
「はいはい。お腹がすいたのね」
離乳食を準備すると夢中で食べる。
「本当によく食べますね」
「そうね」
余程お腹が空いていたのかしら?
カスティージョ家にいた時も沢山ミルクを飲んでいたけど母乳以外でもミルクが飲めるのが幸いだった。
「しかし随分とおなしいですね」
「そう?」
夜泣きはすごかったけど。
朝と昼はあまり泣かなかった記憶がある。
「それにアリア様のおっしゃっている事を理解されているように見えて」
「確かに」
思い当たる事は多々あった。
アリッサは時折私の言っている事を理解しているように思う事はあった。
「アリッサ、私の言う事解る?」
「あー!あい!」
「うーん、何に返事をしているのか解らないわね」
「気のせいでしょうか」
とりあえずアリッサの安全を確保し、できればロベルペール家に連絡を取って貰っている。
だけど予想外の事態になった。
「え?アリッサの父親ではない?」
「こう言っては何だがメリッサは社交界でも悪評があるんだ。肉体関係を持った男は少なくない…他にも同意なしにそう言った事をした事も」
「まさか、酒に薬などを」
「ああ、醜聞になるから公に出来ず…メリッサは醜聞をネタに金を奪い脅していたそうだ」
男を惑わす事に関しては天才的で、悪知恵も働くらしく。
気に入った男性なら婚約中だろうと既婚者であろうと関係なかったらしい。
しかも自分に靡かなければ薬を使うって…
「聞くに堪えないわ」
「ええ」
「でも、そうしたらアリッサは誰の子なのでしょう」
「本当にアリッサが彼女が生んだのかも怪しいものだ」
それは他所の子供を盗んだと言う事?
ないと思いたいけど。
「とりあえずメリッサのいた領地を調査し、行く不明になった赤ん坊はいないか捜索している」
「団長さん」
「何処までも性根の腐った女だ」
真面目で誠実な団長さんは許せないのだろう。
私だって許せない。
人様の産んだ子供を攫うなんて。
領地でも子供を出産するのは命懸けの行為で、中でも子供を産んだ後に死んでしまう事あった。
「団長さん、お願いします」
「ああ…だが」
「何ですか?」
言いにくそうな表情の団長さんはアリッサを見つめながら言い放つ。
「もし該当者が無く親が見つからなかったらどうする?」
「え…」
「最悪の場合孤児院に預けるしかない…下町の孤児院は貧しい。この子の将来は決して明るくない」
アリッサの将来を考えると胸が痛んだ。
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