義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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67エレンディスの恋②

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シャドール侯爵夫人は懐が深く、気持ちの良い方だった。
護衛騎士としてまだまだ未熟な私にも良くしていただき、慣れ始めた頃。


侯爵家は相変わらず賑やかだった。


「アリア!貴女はまたこんなに服を汚して!」

「あ、侍女長。どうしたんですか」

「どうしたって…しかもまた木に登ったそうね!」


その原因は大体はアリアだった。
仕事には慣れていたがぶっ飛んだ行動が多い為だった。


「洗濯物はこっちの方が乾くのが早いんですよ」


「そう言う問題ではありません!今すぐ降りて来なさい!」

「はい…どわぁぁぁ!」

「きゃあああ!」


「アリア!」

足を滑らせるアリアはそのまま落ちそうになったので急いで受け止めようとするも。


「とぅ!」

「わぁ!」

私の肩に手を当てて受け身を取りそのまま着地する。


「完璧!」

「アリア…」


なんてアクティブなんだ。


「アリアぁぁぁ!」

「わぁぁぁ!」


怪我がないのは喜ばしい。
逞しいのも良いのだけどお転婆すぎるのは大問題だ。


「今日から一週間一種間お菓子は全部乾パンです!」

「げっ…」

「反省なさい」


侍女長に雷を落されお説教を三時間受けた後に罰を与えられる。


でも私は知っていた。
お菓子は乾パンだが、飲み物は甘いものを用意している事を。


侯爵家では一番年下の見習い侍女のアリアを皆可愛がっていた。
侍女長は孫のように思っていたようだが、このままでは社交界に出る前に恥をかくと思い厳しく接していた。


彼女の指導は厳しいとも有名だだが、愛情がある。
アリアは元より辛抱強くこらえ性があるので落ち込むことはない。


なのだが…


「アリアにも困ったわね。怪我をするから止めなさいと言っているのに…社交界で変な噂が流れたらどうしましょう」


侍女長はアリアの将来を思えばこそだった。
私もこっそりフォローするしかないのだが、その内侍女長の思いを汲み取りアクティブな行動を控えるようになったが、これまで自由にのびのび育って来た事もあり適度の息抜きは必要だと思った侯爵夫人が…


「乗馬ですか?」

「ええ、今度の休みに丁度良いでしょう」

「しかし…」

いきなり乗馬なんて大丈夫かと思いきや。

「あら?貴方が乗せてあげればよいのではなくて」

「え…」

「殿方がエスコートするのは当然でしょう?貴女も少しはエスコートというものを学びなさい」


くっ…言い返せない。
私はアリア以外の女性が苦手だった。


そのことを指摘されてしまったのだが、アリアと二人で遠出できると内心では喜んだ。
それが私にとってアリアと最後の思い出作りになるとは夢にも思わなかった。



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