義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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58失った物の大きさ~エセルバートside④

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「お待ちください!」


立ち去る二人は冷たい表情で僕を見ていた。


「社交界の噂は本当だったのね?」

「半信半疑でしたが、私は信じたかったのに」


社交界の噂とは何だ?


「あれ程夫に尽くした優しい妻を捨てて若い侍女に現を浮かして長らく妻に暴力を振るったと」

「貴方がいない三か月間社交界で吊るし上げられ、ロベルペール侯爵夫人に睨まれながらも耐え続け家を立ち直らせたというのに…なんて酷い男」


何を言っているんだ。
僕は暴行なんてしていない。


「カスティージョ家は終わりましたわね」

「聡明な妻を失った愚かな夫…真実だと夫人会に告げておきますわ。我が子にまで暴行を加えるなんて」

「お待ちください。これは私の子供ではなく妹のメリッサの子で」


そうだ、誤解を解かなくては。
アリッサは僕の子供ではなく、メリッサの子供で。


「こんなに泣かせて可哀想に…」

「それは、アリッサはずっと妻が面倒を見ていまして。第一男が子供の面倒を見るなどおかしいではありませんか?何故僕が…」

「貴方本気で言ってますの?」

「育児を丸投げすると…」

「いえ、子育ては女性の仕事でしょう?何か問題が…」


何故そんな責めるような目で見るんだ?


「もしや、妹君の代わりにアリア様が夜も見ていらしたの?」

「ええ、最初は満足に泣き止まされず困ってました。赤ん坊を泣き止ませられないなんて困った妻で…まぁ容量も悪い妻でしたので」

この時僕はアリアがちやほやされている事が気に入らず、ダメな事を話しながら絶妙な匙加減でフォローしようと思った。

そうすれば僕の優秀さに気づくはずだ。

「まぁ子供が出来た時の予行練習をさせたのですが、慣れるのに一週間もかかって困りましたよ」

「一週間」

「ええ母になるなら一日で覚えられるというのに。そのおかげで家事も両立が難しく」

「は?何を言ってますの」

「子育てを丸投げして家事を…なんて酷い」

「そうでしょう。妻は出来が酷く…」

「酷いのは貴方達よ!伯爵家の妻に家事を丸投げし育児をさせていたなんて」

「貴方達はアリア様を殺そうとしたのですか!」


は?
何でそうなるんだ?


「そう言えば一時侯爵家に奉公に来ていた時に侍女達が言ってましたわね」

「伯爵家の奥様なのに手は赤切れだらけで平民の女性よりも手が荒れていたと聞きました」

「ずっと虐げていたのですね。なのに彼女は家を守る為にどんな思いで…貴方はどれだけ酷い方なの」

「顔も見たくないわ。この鬼夫が」

「なっ…」


水をかけられ蔑んだ視線を向けらるも二人は責めるような視線を向けそのまま邸をでいて行ってしまった。


その数日後、僕は社交界で妻に暴行を働き。
会談で二人の女性に暴行を働いたといういわれのない噂を流されてしまった。


商人との関係も完全に断たれただけでなく商業ギルドから出入りを禁じられたのだった。


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