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53同居解消と離縁
しおりを挟む「母上、どういうことです」
「どうもこううもないわ」
私にこの邸から出て行けと言うお義母様は私を責めた。
「未だに世継ぎも産めない、カスティージョ家を建て直すににも役に立たない使用人が増長するだけ。だから必要ないわ」
「離縁ですか」
「そうよ。今すぐ出て行きなさい」
「しかし…」
お義父様は何も言えず私をチラチラ見るだけだった。
申し訳なさすにしながらもその表情は私を見捨てようとしているのが解った。
そう以前だったら私はお義父様は悪くない。
あの人も悪くないと信じ込んでいたけど、心配しながらも二人は私を心配してるんじゃないと解った。
所詮は他人。
「承知しました」
「今すぐ離縁状を書くわ。社交界で言いふらされても困るし」
「お母様、誰も信じないわよ。こんな役立たず」
前向きで笑って来た私はもういない。
「離縁?母上…」
「そうですか、侍女の方ですね」
「えっ!」
私が何も知らないとでも思ったのか。
ビクつく姿は滑稽だったけど私はすっかり演技が上手くなってしまった。
「どうかお幸せに」
「アリア!」
「身の程を弁えているようね?実家に泣きつくような真似をしないことね」
「私は百姓貴族と言えど貴族の娘です。実家に帰る事はできません」
「そう」
そして人の演技を見破る事もできるようになった。
片方の過失があれば裁判となり、慰謝料を請求させられるだろう。
だから実家に帰られては困るのだ。
「この度はご迷惑をおかけしました…すべては私の不徳の致すところでございます。今後は静かに人目を忍んで生きて参ります」
「早く出て行きなさい。私物は何一つ持ち出す事は許さないわ」
「はい」
私物を持ち出せば離縁の時に憶測を生む。
でも、身一つで出て行けば証拠を握りつぶせるはずだから。
「アリア…」
「今までお世話になりました。元気な子を産んでくださいとお伝えくさい」
「なっ…」
私は曇りのない笑顔で言い放つ。
そう、心からの言葉だった。
「どうかお幸せに!」
そう告げながら私は身一つで去る。
足取りも軽く何時の間にか雨雲だった空は晴れていた。
「ごきげんよう!」
胸を張ってカスティージョ家をで行く私は…
やっと――。
「自由だ!」
心から笑う事が出来たのだった。
きっとこれから大変な目に会うだろう。
でも胸を張って生きて行こう。
これからは自分の為に。
「お嬢様!」
「え?」
カスティージョ家を出て行くと後ろから声をかけられた。
「ジョナにエレナ?」
二人だけじゃない。
マヤにジョイル達も私の後を追いかけて来た。
「アリアお嬢様!私達もお連れください」
「ご一緒します」
一人での再出発だと思ったら使用人の皆が旅支度の準備をしてついて来てくれたのだった
余談だがその後王都にて私達は以前私が破格で購入した館に住むことになったのだった。
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