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49返って来た義母
しおりを挟む領地に引っ込んでいたお義母様は邸に戻って来た。
その理由はお義父様の病気が快復した事により戻って来た。
「今日から私がここを仕切るわ。貴女はもういいわ」
「待ってください奥様は…」
「奥様?アリア、随分と勝手な真似をしていいたのね」
ジョイルが止めようとするもお義母様は私を睨んだ。
「嫁としての役目を果せないのに女主人を気取るとは」
「何を…」
「家を建て直したのはエセルバート。お前は何もしていないのでしょう。シャドール侯爵夫人に泣きついたのでしょう?ロベスペール侯爵夫人も見っとも無い。あの程度」
あの程度?
メリッサ様の事をその程度と言うの?
「母上…」
「お言葉ですが、そのような言い方はいかがなものかと」
「アリア!」
エセルバート様が止めようとするも私はここで黙っている事はできない。
「ロベスペール侯爵夫人はメリッサ様の無礼をお許しくださったのです。本来ならメリッサ様の不義は許されません」
「は?」
「我が家が傾いたのもあの方が助けてくださったのです。でなければ…」
「止めろアリア」
「何故黙っているのですか?ロベスペール侯爵夫人が援助してくださった恩をエセルバート様は何ともおわ漏れないですか?恩を仇で返すなんて…」
「このダメ嫁が!」
「きゃああ!」
お義母様は扇で私を殴った。
「奥様!」
エレナが急いで駆け寄りハンカチで止血をしてくれた。
「大丈夫ですか!」
「大丈夫よ」
治りかけた傷がまた広がってしまった。
「なんて身の程知らずなのに。半人前以下の癖に…嫁の役目も果たせずに。世継ぎも産めないでできs来ないが口答えをするなんて!調子乗るのもいい加減になさい」
「母上…」
「エセルバート。お前も何故妻の教育を怠ったの?これだからは百姓貴族は…すぐに離れに閉じ込めなさい。反省させるのよ」
「アリアを離れに連れて行け」
エセルバート様は私を見なかった。
「何をしているジョイル」
「離れに奥様をお入れするなんてできません」
「命令だ」
「できません!奥様は病み上がりなのですよ…」
ジョイルは頑なに首を振るがエセルバート様の表情は険しくなる。
このままだではジョイルが。
「解りました」
もうこの人達に何を言っても無駄だわ。
「離れに行きます」
これが答えなのだ。
エセルバート様は自分の保身の為にジョイルですら捨てたのだ。
ならば私は彼を信じない。
愛も絆もまやかしでしかない。
「奥様!」
「残念です」
だけど私は使用人の皆をこれ以上苦しめたくない。
かだら偽らなくてはならない。
仮面を被ることにした。
全ては彼等を守る為に。
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