義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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45破られた物

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ビリビリに破られた手紙を手に取り私は涙を流した。


「どうして…どうしてこんな事を」

「奥様!」


手紙を破るなんて酷い。
団長さんからの手紙を読めない程にビリビリに破るなんて。

これでは何を書いているか解らない。
でも紙質からして遠征先から送られた物が解る。


「酷い…酷すぎるわ」

騎士様にとって遠征先から手紙を送るのは誰だけ大変か。
エセルバート様は解っているのだろうか?

それ以前に私宛の手紙を勝手に見るなんてそれ程私は信用されていないの?


「どうして変わってしまったの?」

「奥様、人とは窮地に立たされた時に本性を現します。もはや…」

「私もエレナ様の言う通りかと…ですが」


私の手を握ってくれるマヤは泣きながらはっきりと告げる。


「例えどんな道を選ばれても私達は奥様の味方です」

「ええ」


どんな道を選んでも?
それは私がカスティージョ家の妻で無くなっても?


「私達の主は奥様です。カスティージョ家ではありません」

「ええ。必要なら私があの最低男を摘みます」


何所から取り出したのか本物剣を取り出すエレナに驚くも、私は一度考える必要があるかもしれない。


「もう一度、考えるわ」

「奥様…」

「エセルバート様の事を」


何があの人を変えてしまったのか。
夫婦の危機はお家の危機でもあるのだから。


ようやく持ち直したカスティージョ家を潰すわけには行かない。


だからもう一度ちゃんと話をしようと思った。



まだ大丈夫。
この時私はまだエセルバート様を信じていた。


きっと今は環境の変化についていけず色々大変なんだと思っていた。



でも――。


「邸を勝手に出るとはどういうつもりだ」

「えっ…」


社交界に出るなと言われても外出を禁じられていたわけではないのでその日は一時間程貸本屋に出ていたが、邸に戻るとエセルバート様が仁王立ちしていた。


「ですが…」

「邸から出るなといったはずだ。社交界に出るなと…」

「ですから貸本屋に」

「君は僕の言う事を聞いていればいんんだ!何もできない癖に!」


「エセルバート様、どうしてそんな酷い事ばかりおっしゃるんですか」



完全に怒りで我を忘れてしまっているエセルバート様に私は出来るだけ落ち着いて欲しくて優しく声をかける。


「何だと?」

「私は社交界に出るなという言いつけは守りました。ですが邸から一歩も出ないでなんて無理ですわ。これから先ずっと何をするんです」

「今までのようにすればいいんだ。君は僕の言う事だけ聞いていればいい」


どうしてそんな考えに至るようになったの?
少し前までは少しの外出も一緒にしてくれていたのに。

「私はカスティージョ家の妻ですわ。外に出ないで邸内に閉じ困るなんて」

「まるで監禁ではないですか」


私の言葉を重ねるようにエレナが告げると。

「貴様ぁぁ!」

エセルバート様が手を振り上げたのだった。


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