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41侯爵夫人の思い~イオンティーヌside①
しおりを挟む私の名前はイオンティーヌ・シャドール。
隣国の元第二皇女で夫は国王陛下の従兄に当たり第三王位継承権を持っていた。
持っていたというのは、継承権を争う気が無いので随分前に返上したからだ。
優しいあの人は体が弱く、国王になるには優し過ぎた。
だからと言って甘いだけじゃない。
為政者としての才能もあるけれど、王になる気はないのだから。
貴族の間で恋愛結婚は稀だ。
表向きは政略結婚に見えるけど実際は違う。
私が夫に一目ぼれをしてアタックして母にお願いしたのだ。
母は快く許してくれたし、理があったのだ。
その理由は、東帝国は薬草が不足している。
けれど、この国、ジャスティア王国は薬草の宝庫でもあり政略結婚を願っていた。
けれど嫁いで五年後、ジャスティア王国でも薬草の出来が悪く難航していた。
メラミン病が流行り出した。
十年前にもこの病は多くの死者を出してしまい国も問題になっていた。
だけどある領地だけは全く病にかかるどころか感染していない聞かされた。
フリーシア領地だった。
国内でも一番薬草の生産量が高く薬草を使ったお茶にお菓子。
料理にも薬草を使っており、私は視察を兼ねて調べるとコブクロ草を使っていた。
他にも貴重な薬草が生産されていた。
祖国でもこれほどの薬草師は存在しないし、薬草の出来栄えだけじゃない。
調合に関しても天才的だった。
その制作者がまだ幼い少女だった事にも驚いたわ。
その人物がアリアだった。
彼女はまだ幼いながらに王立研究院顔負けの薬草の知識を持っていた。
明るく優しい子で初めて会った私にも疑いの目もなく薬草を使ったお菓子を気に入ると沢山作ってくれて、今度は薬草を使っているパン工場に案内してくれた。
初めて自分でパンを作った感動は今も覚えている。
皇族であるけど我が帝国は質素な生活で、乳しぼりだってしていたぐらいだわ。
だから懐かしさを感じた。
聡明で優しく人の気持ちが解るアリアを私はすっかり気に入り、ちゃんとした教育を受けさせたいと思った。
けれど、領地が裕福ではない。
領民の暮らしを守る為に王都で社交界デビューは難しいとの事だった。
ならば我が家に来て行儀見習いをして、王都で社交デビューをさせてあげたらどうだろうか?
お給金も出せるし良い経験になる。
結婚相手も広い視野で探すのも手だった思ったのに。
こんな事になるなんて。
「どうしてアリアがこんな目に!」
私はただ彼女に・・・
アリアに幸福になって欲しかった。
才能ある彼女にもっと広い世界を見て欲しかっただけなのに。
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