義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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29悪女の義姉~侍女side①

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ロベルペール家は聡明な奥様によって守られていた。
旦那様は外に多くの愛人を抱え、実質侯爵家を守っているのは奥様だった。

子供が出来にくい体である事を理由に旦那様は当てつけのように外で浮気を繰り返し、この本邸にも愛人を連れて来ては高価な贈り物をして奥様を苦しめていた。


そして最も問題となるのは妾腹が生んだ次男。
学園に在学中にもやりたい放題をして、どれだけ奥様とお嬢様に迷惑をかければ気が済むのか。

しかもあろうことにも卒業パーティーでとんでもない事をしでかした。

婚約者がいながら他の女の肩を抱き、婚約破棄宣言をして。
しかも以前から奥様と深いお付き合いをされる商人貴族のご息女の婚約者に手を出すような相手。


メリッサ・カスティージョ。
社交界でも有名で外見は美しいが中身は最低な女。

自分よりも身分が低い令嬢をこれ見よがしに馬鹿にしたり、公の前で恥を晒すような真似をして陥れていた。


その令嬢は持病を抱えていらした。
体が弱いながらも母親思いの優しい令嬢だったけど、あの女が陰湿な嫌がらせをした。


何処までも最低な女。
そしてその女は奥様を侮辱する言葉を吐き続けた。


だけどそれだけで終わらなかった。
あの馬鹿息子はメリッサと恋に落ちて一線を越えた。

結婚をしてこの侯爵家を乗っ取ろうと考えていた。

だけど、そんなことは許されない。
何故ならあの馬鹿次男は継承する資格がないのだから。


そして婚姻も認められない。
故に奥様は貴族籍から除籍することで結婚を認める事になったが、あの性悪女は駆け落ちをする事を社交界で触れ回った。



だからこそ、カスティージョ家から手紙が来た時殺意が湧いた。


「今さら…今さら手紙を出すなんて」

「なんて神経をしているのかしら」


手紙を握り潰そうとしたが、使用人である以上は勝手に捨てるわけにはいかないわ。


「奥様…」

「手紙の差出人はメリッサ嬢の母親でもなく父親でもなく兄でもないわ」

「え…」

「義理の姉よ」


何処までも馬鹿にしているわ!
義理の姉が謝罪の手紙を書くなんてありえない!


けれど、手紙とお詫びの品が送られるようになった。


「何故母親が詫びに来ないのでしょう」

「隠居したらしいわ」

「はい?」

隠居ってどういう事。

「上手逃げたのね。責任は嫁に押し付けたのでしょう?本当にやってくれるわ」

ロベルペール侯爵家を何処までも馬鹿にして!


「私に直接会いたいそうよ」

「会う必要はありません」


「一度アリア・カスティージョに会ってみたいわ。まぁ四面楚歌でしょうけど」

納得はできないけど、ならば痛い思いをすればよいと思った。
義理と言えど憎い女の義姉なのだから。


きっと性悪だと思った。


…はずだった。


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