義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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25騎士

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エレンディス様が私を庇う様に前に立つも。
奥様の表情は既に私に怒りをぶつけていなかった。


「もう結構ですわ」

「え?」

「何の関係もない貴女を責めても空しいだけ…私の憎むべき存在は貴女ではなくメリッサ嬢とカスティージョ伯爵夫人」


どうして?
私はカスティージョ家の嫁であり同じなのに。


「私の娘の病を治してくださるというなら許します…できないなら許しません。訴えますわ」

「メラミン病ならば治せますわ。私の領地に療養に来た方も多いですし」


「ならば治しなさい。娘の病を治してくださるならすべてを水に流しましょう」


「ありがとうございます。ご慈悲を…」


なんて優しい人なのかしら。
最悪の場合お茶会で集団リンチとまではいかなくてもそれに近い事は想定していたのだけど。



「大丈夫ですか…」


「はい」


汗だくだった。
きっと私を心配して駆けつけてくれたのだろうけど、今日は王宮でお勤めだとかこないだ言ってなかったか?



「とんだ騒動です事」


「ロベスペール侯爵夫人!」

「え…」


この方がロベスペール侯爵夫人?


「お茶会の前にとんだ茶番劇ですわ」

「申し訳…」

「頭を下げないでくださる?謝罪は受け入れませんわ。だって許す気はないもの」

「はっ…はい」


そうよね?
簡単に許せるはずがないのだから。

大事なご子息が家を出る羽目になったのだから。


「侯爵夫人!」

「行けませんわ。そんな者の傍に…」


私との間に入るのはさっきまで私に敵意を向けていた奥様集団だ。


「彼女を招待したのは私です。お客様に挨拶する事は当然ですわ」

「ですが…」

「そもそもアリア様は今まで一度も社交界に出されず邸に閉じ込められていただけ。無関係ではありませんの?なのに何故本日はお一人で来られたのか」

「それは…」

「気になりませんこと?ご主人もご一緒に参加せず妻だけだなんて」


これはまずい事になった。
エセルバート様はともかくとしてお義父様が病で倒れ、お義母様も隠居生活をしている事を話さなくてならないのだろうか?



「確かに…」

「私はカスティージョ家で使用人のように使われているのを見ましたわ」

「もしかして…」


どうする?
ここをなんとかして切り抜けるためには!


「義母は私に長い間嫁として一人前になるまでは社交界に出ないようにと言ってくださいました。そして本日大事なお役目をくださったのです」

「何ですって?」

「嫁として役目を果す為に…メリッサは既に家を出た身。この場に連れてくることはできません。故に私が」


うんうん、嘘は言っていない。
それにこの場でメリッサ様を連れてきたら逆効果じゃないか。

だからこそ間違ってないはずだと思った。



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