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23誠意
しおりを挟む王都に来て初めての社交界。
思えば私はお茶会や舞踏会に出る事もなかった。
「まぁ見て…」
「彼女が?どういう神経しているのかしら」
「図々しい」
ロベスペール家の前に到着したと同時に突き刺さる視線に悪意はある程度想定できた。
「エレナ、ジュナ…ここで待っててくれてもいいわよ」
「いいえ。誰が奥様をお守りするのですか」
「ええ」
二人は護衛を名乗り出てくれた。
現在邸に残ってくれた使用人は女性が多い。
護衛にできない年老いた従者や庭師を同行させるわけには行かなかった。
「よっしゃあ!」
気合を入れて私は特性野菜ドリンクを飲んだ。
「奥様…」
「気合を入れるわ。今から戦場よ」
正直、怖くないと言ったら嘘になるけど。
でも、ここから私の戦いが始まるのだから嘆くわけには行かない。
馬車を降りて直ぐ、私に対する視線はとても厳しいものだった。
「お待ちしておりましたかカスティージョ夫人。お一人で…」
「申し訳ありません。主人の代理で参りました」
「お一人でなんて…なんて無礼な」
玄関に入るとフットマンに聞かれ私は素直に答えると侍女らしき人に睨まれる。
「お怒りは最もでございます。どうかお許しくださいませ」
「カスティージョ家はどういうおつもりなのかしら?」
「本当に…社交界にも出られないハズレ嫁を代理になんて」
ハズレ嫁?
それは私の事だろうか。
「はい、未熟者ですが今後ともよろしくお願いしました」
「は?」
「私はハズレ嫁でまだまだ未熟ですので。皆様のご指導、ご鞭撻を賜りたく思います」
そうだ。
私はまだまだ半人前。
社交界でも認識は薄い。
だからこそ知ってもらおうと思った。
「ふざけているの?あんな真似をして」
「義妹のした事は許される事ではありません。何を申されても私は謝罪しお詫びをする事しかできません」
「それだけしかできないなんて」
「はい。私には侯爵夫人の苦しみを汲み取る事も、ロベスペール家の名前に傷をいやす事も出来ません。私如きが何かできるなどおこがましい事…ですができることがあるなら何でもさせていただきたく思います」
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「奥様!」
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「申し訳ありません」
「謝って済む事じゃないわよ!」
「はい、一生その罪を背負います。私にできる事は何でもっせていただきます」
ワインを被るなんてどうという事もない。
目の前で傷ついている奥様の方が苦しそうだった。
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