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10厳しい言葉
しおりを挟むシャドール侯爵家では侍女見習いとして多くの事を習った。
ダンスも習ったけど重要視されたのは侍女のスキルだったのでダンスは基礎までしか習っていなかった。
でもイオンティーヌ様はダンスで一番必要なのはパートナーに合わせて楽しく踊れるかだった。
でも…
「なんて地味な踊り方ですの?それに所作も気品がないわ」
「メリッサ!」
「カスティージョ伯爵夫人になる以上はもっと優雅に目立つように踊れなくては!」
「何所で習ったのかしら。こんなダンス」
私がちゃんと踊れなかったから行けなかったのかな。
ダンスを教えてくださった侯爵夫人に申し訳なくて、その都度ダンスをの練習をするたびに指摘が入り委縮してしまった。
「これでは社交界に出て恥をかくから私が夜会に参加するわ」
「はい」
「全ては貴女の為よ。その代わり素敵な先生を紹介してあげますわ」
何一つ満足にできていないと指摘をされ、立派な淑女になるべく名のある王室家庭教師を務めたマナーの先生をつけて貰った。
かなり厳しい人であった。
「歩くときは滑るように静かに…ちゃんと視線を!」
「はい!」
「返事は優雅に、そして美しく」
侯爵家よりも厳しい淑女教育を受けながらも、私は食らいついた。
私の者覚えが悪いのか先生は頭を悩ませることも少なくなかったけど。
「アリア様、一歩進めればいいのです。三歩進もうとしなくて結構です」
「え?」
「昨日できなかった事を繰り返し練習して明日できるようにする」
中々上達しない私に先生は優しい言葉をかけ、励ましてくれた。
レッスン中は厳しく、時折様子を見に来るメリッサ様には呆れられていたけど。
「メリッサ様、そこで笑うのはマネー違反ですわ」
「は?」
「必死に頑張っている方を笑うとは淑女として論外です」
「わっ…私は別に」
「まぁいいでしょう。アリア様、無駄な時間を過ごすのもなんですから次のステップに入りましょう」
手厳しい言い方をしながらも先生は優秀な家庭教師だった。
マナーレッスンの合間に他の勉強を見てくれて私は時間がかかりながらもスキルを習得する事が出来た。
「アリア様、焦る必要はありません」
「先生…」
「誰でも最初は初めて。できなくて当然です」
時折お義母様とメリッサ様が邸を空ける時に先生は優しく色々な事を話してくれた。
王宮の暮らしや宮廷貴族の学問への意識の低さ。
そして今後は領地を持つ貴族。
特に百姓貴族の立場が重要視されることになる。
「私はアリア様が率先して彼等の先頭に立つべきと思っておりますわ」
「先生…」
「百姓貴族も立派な貴族…彼等も学を身につければ対等になれますわ」
厳しい言葉は期待の表れ。
先生は私に期待をしてくれている事が解り、もしかしたらお義母様も同じではないかと思うようになった最中。
先生はいきなり家庭教師を辞める事になったと告げられた。
ちゃんとした挨拶もなくお別れする事になった。
王都を急遽去らなくてはならなくなったとの事だった。
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