3 / 196
2義妹の恋
しおりを挟む
メリッサ様は分家筋の遠縁。
子爵家に嫁ぐことが決まっていたが学園で知り合った侯爵家の令息と恋に落ちたらしい。
しかし貴族の結婚は基本国王陛下の許可がなくてはならない。
「私は彼と生きていくわ。既に婚約破棄は卒業パーティーで告げて宣言したの」
「待て、卒業パーティーでそんなことを言ったのか」
「ええ、大勢の前で愛を誓ったの」
眩暈がした。
本気で言っているのか。
王都でも流行っているロマンス小説で大勢の前で真実の愛を誓う内容はある。
でも、あくまで小説だ。
現実でそんなことをして許されるわけがない。
しかも相手は義父の妹。
叔母様の家に泥を塗る行為をして大丈夫だろうか?
「そんな真似を…」
「もう決めたわ。私はあんな凡庸な男とは合わないわ」
「そうね!侯爵家の令息だなんて素敵だわ。大体子爵如き家柄に私のメリッサは合わないわ」
どうしてそうなるのか。
確かにメリッサ様は美しい容姿をしているが、愛の為に理を重んじないで許されるのか。
少なくとも私の実家では貴族同士の婚約は契約だった。
勝手な事情で解消をする等許されなかった。
百姓貴族は他の領地で不和はご法度だった。
互いに良い関係を築き、協力する事が最重要だったのにこんな不誠実な。
「ですが、婚約を勝手に…」
「酷いわ!そんな言い方を」
「アリア、嫉妬でそんな底意地の悪い事を言うんじゃないわ。本当に最低ね」
「申し訳ありません」
「母上!」
私は嫉妬心を抱いたわけじゃない。
ただちゃんと叔母様にも話を通さずこんな真似をして大丈夫なのかと心配しただけなのに。
「お相手はロベスペール家の次男よ」
「素晴らしいわ。大賛成よ…ミハイルの事は気にしなくても良いわ」
従弟であるミハイル様は騎士団に所属している。
聡明でお優しく騎士の鏡と呼ばれる程の優れたお方だが真面目過ぎる。
そして自由過ぎるメリッサ様に苦言を物申していらした。
「大体ミハイルは仕事ばかりで私の事に対しても」
「そうよ。あんな堅物ではね?出世の見込みもないし」
酷い…
なんて事を言うのかしら。
「二人共いい加減に…」
「いい加減にしないか!」
エセルバート様が怒鳴る前にお義父様がテーブルを叩き声を荒げる。
「お前達は自分達が何を言っているか解っているのか!」
「何を怒っていらっしゃるのお父様?どうして喜んでくださらないの?」
「そうよ。何を怒っていらっしゃるの」
私は絶句した。
お義父が怒っている理由を理解していなかった。
本当に大丈夫かのか。
侯爵家は身分違いの恋愛をどう思っているのか。
運命の恋に浮かれている二人に不安しか感じなかった。
子爵家に嫁ぐことが決まっていたが学園で知り合った侯爵家の令息と恋に落ちたらしい。
しかし貴族の結婚は基本国王陛下の許可がなくてはならない。
「私は彼と生きていくわ。既に婚約破棄は卒業パーティーで告げて宣言したの」
「待て、卒業パーティーでそんなことを言ったのか」
「ええ、大勢の前で愛を誓ったの」
眩暈がした。
本気で言っているのか。
王都でも流行っているロマンス小説で大勢の前で真実の愛を誓う内容はある。
でも、あくまで小説だ。
現実でそんなことをして許されるわけがない。
しかも相手は義父の妹。
叔母様の家に泥を塗る行為をして大丈夫だろうか?
「そんな真似を…」
「もう決めたわ。私はあんな凡庸な男とは合わないわ」
「そうね!侯爵家の令息だなんて素敵だわ。大体子爵如き家柄に私のメリッサは合わないわ」
どうしてそうなるのか。
確かにメリッサ様は美しい容姿をしているが、愛の為に理を重んじないで許されるのか。
少なくとも私の実家では貴族同士の婚約は契約だった。
勝手な事情で解消をする等許されなかった。
百姓貴族は他の領地で不和はご法度だった。
互いに良い関係を築き、協力する事が最重要だったのにこんな不誠実な。
「ですが、婚約を勝手に…」
「酷いわ!そんな言い方を」
「アリア、嫉妬でそんな底意地の悪い事を言うんじゃないわ。本当に最低ね」
「申し訳ありません」
「母上!」
私は嫉妬心を抱いたわけじゃない。
ただちゃんと叔母様にも話を通さずこんな真似をして大丈夫なのかと心配しただけなのに。
「お相手はロベスペール家の次男よ」
「素晴らしいわ。大賛成よ…ミハイルの事は気にしなくても良いわ」
従弟であるミハイル様は騎士団に所属している。
聡明でお優しく騎士の鏡と呼ばれる程の優れたお方だが真面目過ぎる。
そして自由過ぎるメリッサ様に苦言を物申していらした。
「大体ミハイルは仕事ばかりで私の事に対しても」
「そうよ。あんな堅物ではね?出世の見込みもないし」
酷い…
なんて事を言うのかしら。
「二人共いい加減に…」
「いい加減にしないか!」
エセルバート様が怒鳴る前にお義父様がテーブルを叩き声を荒げる。
「お前達は自分達が何を言っているか解っているのか!」
「何を怒っていらっしゃるのお父様?どうして喜んでくださらないの?」
「そうよ。何を怒っていらっしゃるの」
私は絶句した。
お義父が怒っている理由を理解していなかった。
本当に大丈夫かのか。
侯爵家は身分違いの恋愛をどう思っているのか。
運命の恋に浮かれている二人に不安しか感じなかった。
114
お気に入りに追加
4,813
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結保証】ご自慢の聖女がいるのだから、私は失礼しますわ
ネコ
恋愛
伯爵令嬢ユリアは、幼い頃から第二王子アレクサンドルの婚約者。だが、留学から戻ってきたアレクサンドルは「聖女が僕の真実の花嫁だ」と堂々宣言。周囲は“奇跡の力を持つ聖女”と王子の恋を応援し、ユリアを貶める噂まで広まった。婚約者の座を奪われるより先に、ユリアは自分から破棄を申し出る。「お好きにどうぞ。もう私には関係ありません」そう言った途端、王宮では聖女の力が何かとおかしな騒ぎを起こし始めるのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】義姉の言いなりとなる貴方など要りません
かずきりり
恋愛
今日も約束を反故される。
……約束の時間を過ぎてから。
侍女の怒りに私の怒りが収まる日々を過ごしている。
貴族の結婚なんて、所詮は政略で。
家同士を繋げる、ただの契約結婚に過ぎない。
なのに……
何もかも義姉優先。
挙句、式や私の部屋も義姉の言いなりで、義姉の望むまま。
挙句の果て、侯爵家なのだから。
そっちは子爵家なのだからと見下される始末。
そんな相手に信用や信頼が生まれるわけもなく、ただ先行きに不安しかないのだけれど……。
更に、バージンロードを義姉に歩かせろだ!?
流石にそこはお断りしますけど!?
もう、付き合いきれない。
けれど、婚約白紙を今更出来ない……
なら、新たに契約を結びましょうか。
義理や人情がないのであれば、こちらは情けをかけません。
-----------------------
※こちらの作品はカクヨムでも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
その発言、後悔しないで下さいね?
風見ゆうみ
恋愛
「君を愛する事は出来ない」「いちいちそんな宣言をしていただかなくても結構ですよ?」結婚式後、私、エレノアと旦那様であるシークス・クロフォード公爵が交わした会話は要約すると、そんな感じで、第1印象はお互いに良くありませんでした。
一緒に住んでいる義父母は優しいのですが、義妹はものすごく意地悪です。でも、そんな事を気にして、泣き寝入りする性格でもありません。
結婚式の次の日、旦那様にお話したい事があった私は、旦那様の執務室に行き、必要な話を終えた後に帰ろうとしますが、何もないところで躓いてしまいます。
一瞬、私の腕に何かが触れた気がしたのですが、そのまま私は転んでしまいました。
「大丈夫か?」と聞かれ、振り返ると、そこには長い白と黒の毛を持った大きな犬が!
でも、話しかけてきた声は旦那様らしきものでしたのに、旦那様の姿がどこにも見当たりません!
「犬が喋りました! あの、よろしければ教えていただきたいのですが、旦那様を知りませんか?」「ここにいる!」「ですから旦那様はどこに?」「俺だ!」「あなたは、わんちゃんです! 旦那様ではありません!」
※カクヨムさんで加筆修正版を投稿しています。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法や呪いも存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
※クズがいますので、ご注意下さい。
※ざまぁは過度なものではありません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね
ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。
失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
本日より他人として生きさせていただきます
ネコ
恋愛
伯爵令嬢のアルマは、愛のない婚約者レオナードに尽くし続けてきた。しかし、彼の隣にはいつも「運命の相手」を自称する美女の姿が。家族も周囲もレオナードの一方的なわがままを容認するばかり。ある夜会で二人の逢瀬を目撃したアルマは、今さら怒る気力も失せてしまう。「それなら私は他人として過ごしましょう」そう告げて婚約破棄に踏み切る。だが、彼女が去った瞬間からレオナードの人生には不穏なほつれが生じ始めるのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約を破棄され辺境に追いやられたけれど、思っていたより快適です!
さこの
恋愛
婚約者の第五王子フランツ殿下には好きな令嬢が出来たみたい。その令嬢とは男爵家の養女で親戚筋にあたり現在私のうちに住んでいる。
婚約者の私が邪魔になり、身分剥奪そして追放される事になる。陛下や両親が留守の間に王都から追放され、辺境の町へと行く事になった。
100キロ以内近寄るな。100キロといえばクレマン? そこに第三王子フェリクス殿下が来て“グレマン”へ行くようにと言う。クレマンと“グレマン”だと方向は真逆です。
追放と言われましたので、屋敷に帰り準備をします。フランツ殿下が王族として下した命令は自分勝手なものですから、陛下達が帰って来たらどうなるでしょう?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる