義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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プロローグ

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私は中位貴族で決して身分は高くないが、10歳の頃から花嫁修業に勤しんでいた。

ただ百姓貴族である事で姑は私を見下し、認めようともしなかった。


「はぁ?どうして百姓貴族の娘を嫁に…メリッサと月とスッポンね」


「まぁお母様、そんな本当の事を言っては可哀想よ。お兄様だって好きで結婚したんじゃないんだから」

「そうね、所詮は政略結婚だもの」


貴族同士の婚姻は義務。
だからと言って私が一方的に悪者にされるなんて思わなかった。


「愛のない結婚をさせられて可哀想ね」

「メリッサ、貴女は本当に愛する人となりなさい。女としての幸せを」

「ありがとうお母様!」


私は何も言えなかった。
言ってはならないと思ったからだ。


百姓貴族である事を馬鹿にされても耐えなければならない。
嫁としてお姑様に仕える身で私は逆らってはならないのだから。


だけど花嫁修業の間に受けた苦痛は覚えている。


食事だって、これ見よがしに義妹であるメリッサ様と比べられて来た。
所作も悪く、その都度馬鹿にされて来ても何も言えなかった。


「こんな見っとも無い所作だなて、メリッサの隣を歩かせられないわ」

「田舎育ちがにじみ出ているから仕方ないわ。許してあげて」

「本当に聖女のように優しいわね」


ぎゅっと唇を噛みしめながら私は泣き言は言わなかった。


言ってはいけないと思った。
私が泣けば夫のエルセバート様に心配をかけてしまう。


跡継ぎとして頑張っているエルセバート様は優しい人だった。


「アリア、留守にしてすまない」

「お帰りなさいませ」


この邸で私の支えは優しい彼だった。
百姓貴族でしかない私を見下す事も無く優しく接してくれていた。


「母と妹がすまない」

「いいえ、大丈夫ですわ」


二人が言う様に政略結婚だった。
だけど貴族の中では政略結婚でも絆が生まれ愛を育てている夫婦はいるのだから。


私の両親だって政略結婚でも思い合っている。
領地を潤す為に汗水たらして協力し合っている二人を見て何時か両親のような夫婦になる事を夢見て来た。


でも百姓貴族を馬鹿にされ、両親すら否定されることは一番辛かった。


「母と妹が無神経な事を言ったんだね」

「私が至らないだけです」


これも本心だった。
私が至らないからダメなのだ。


もっと努力して認めてもらおうと思った。


でもどんなに頑張ってもメリッサ様と私は解り合う事は出来なかった。

そしてお義母様も私の事を認めてくださらず。

伯爵家に正式に嫁いで来て早々に。


「嫁と行っても公の場にはメリッサがいるのだから必要ないわ」


そう言われてしまったのだった。


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