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70.立場~エドガーside
しおりを挟む私の話に割り込んで来た貴族に不愉快だと思いながらも振り返るも。
「跡継ぎに恵まれなければ、優秀な親族を養子に迎えるのは当然の事だ」
「あっ…いえ」
「出来の悪い息子を跡継ぎにするよりも、領民の為を思うならば賢明な判断と思うが」
私の言葉を返す様に告げるのは、王族派の中でも古株の辺境伯爵。
その隣には貴族派で中立的な立場にいる子爵。
そして王妃陛下の親族の女伯爵だった。
彼等は元は分家筋から本家に望まれていた過去を持つ方達ばかりだ。
「血筋だけ良くても、政治の知らぬ、当主としての才もなく、人として欠落している物が領主となれば国は沈みますわよ。それとも私達に対する嫌味ですの?」
「ほぉ?我ら辺境地を統べる四天王を侮辱するとは、随分と偉くなった者よな?」
「そなたの家は辺境伯爵家…侯爵よりも上の私よりも偉いのか?」
まずい!
一番怒らせてはならない彼等を怒らせてしまった。
「さっきから聞いていれば何だ?」
「聞けば、女性を無理矢理部屋に連れ込もうなんて…なんて汚らわしいのかしら」
「アリスティア嬢に付きまとい、今度は侍女まで手を出すとはなんと恥さらしな。挙式を控えている女性を人気内のない場所に呼び出すとは!」
挙式だと?
そんな情報は一切なかったはずだ!
「エデン、そなたも伯爵位を賜っているのです。もう少し強気にでぬか」
「申し訳ありません」
何故女伯爵がそんなことを言うんだ。
「これでは私が後見人を務める意味がないわ。貴方は名実ともに北の辺境地を統べるジークベルト殿下の側近なのですよ」
「心得ております。ですが、横柄な態度を取り、主のご迷惑になるようなことはしたくありません」
「何と弱腰な。ジークベルト殿下と言い、貴方と言い。謙虚すぎるわ」
私を無視して話を進めるな!
何故、彼女がこんな格下の男の後見人を務めているのだ!
「メディス伯爵、そなたは辺境地を守るモーリス家を随分軽んじているようだな」
「非常に不愉快な事だ。例え彼女は子爵家のご令嬢であろうとも、侯爵令嬢の傍付き侍女という立場は軽くない。騎士でりながら女性に怪我を負わせるなど」
三人の発言により、静観していた周りの者は私を攻撃し始めた。
「前から思ってましたけど…エドガー様は何故アリスティア様に対して慣れ慣れすぎません事」
「ええ、いくら王太子殿下の側近であっても…身分だけで言えば決して高くありませんわ」
「ええ…ご自身ではなんの手柄も断てていないのに」
辱めを受け、白い目で見られる等苦痛以外の何物でもなかった。
そしてその後すぐに私は王妃陛下の命令により謹慎を受ける事になった。
謹慎が解けた頃には私を批判する声や、偽りの噂が流れてしまっていたのだった。
このままでは私の立場が危ぶまれる。
それと同時にティア様の不在により被害は大きくなっていた。
だからこそ私は急ぎ、ティア様を迎えに行くことを進言した。
しかしタイミングが悪く、この時期は航海する為には隣国への近道は西の辺境地を通らなくてはならなかったのだが、ティエゴ殿下がアリスティア様との婚約を解消したことで関係は悪化し、通る事は出来ず遠回りになってしまった。
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