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46.腹心の騎士
しおりを挟むお父様は最後まで渋っていたが、なんとか説得出来て良かったわ。
一番酷かったのはリィナだけど。
最終的には解ってくれたようで安堵した。
朝食を終えた後に、王宮からの迎えたが来たのだけど。
「モーリス伯爵様」
「お久しゅうございます。アリスティア様」
エデン・モーリス様。
幼少期からジークの傍仕えをされていた方だ。
元はモーリス伯爵家の遠縁で実家は子爵家で傍仕えの後に本家に養子に迎えられたと聞かされている。
私も何度かお会いしたことはある。
「どういうことだエデン」
「ジークベルト様が出国なされた後に、私はカモフラージュとしてしばらく影武者を務めさせていただきました。ですがさるお方の命で」
「さるお方?」
昔からジークに忠誠を誓っていたモーリス伯爵様がジーク以外に命令を聞く人がいたのかしら?
「私の事は後に、そろそろ出発いたしませんと」
「そうね」
「解った」
私とジークは馬車に乗り邸を出ることにした。
本当は私一人で行くはずだったが、単独で王宮に行かせることだけは許さないとお父様が言ったのでジークが付き添うことになった。
「ティア、気をつけるんだぞ」
「お嬢様、どうか…」
「大丈夫よ。いってきます」
二人にこれ以上心配をかけてはいけない。
だから安心してもらわないと。
「ティア…」
「そんな顔をしないでくださいな」
私よりも不安のようだわ。
王妃陛下にお会いするのは緊張するけど、あの方は無体な真似をする人ではないわ。
「ジークベルト様、差し出がましい事を申し上げてもよろしいですか」
「何だ」
遠慮がちにモーリス伯爵様が告げた。
「この度、お二人の護衛を命じられたのは王妃陛下でございます」
「え?」
「王妃陛下に対して十年前は無礼を申し上げた私でございましたが、あの方は決して氷の女王様と呼ばれるような方ではありません…あの方程情愛の深い方はおられません」
モーリス伯爵様は迷いなく告げられた。
完治
「エデン、どうして…」
「十年前に王都から追放する形になりましたが、ジークベルト様のお体を完全に完治させるにはあの地にいかなくてはなりませんでした。そして厳しい環境に身を置き、お帰りになるのを持っていたはずです」
「待っていた?」
「公の場ではジークベルト様は廃嫡となっておりますが、王妃陛下は立太子できなくとも王族として迎えるつもりだったようです。アリスティア様とティエゴ様の婚約はあくまで表向きでした…こちらを」
渡されたの私達の婚約の誓約書だった。
「これは、どういうことだ」
「十年前の誓約書はまだ切れていない?」
「恐らく、ティエゴ様の婚約者候補という形を取り、アリスティア様を守るつもりだったのでしょう。婚約と言っても確実ではありませんでしたし」
「どうして…」
王妃陛下の思いが少しずつ見えてきた気がした。
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